「成長株に投資したいけれど、どんな企業を選べばいいのか分からない……。」
そんな悩みを持つ投資家におすすめなのが、楽天証券チーフ・ストラテジストの久田正幸氏による『2000億円を運用した伝説のファンドマネージャーが明かす 超成長株の見つけ方』です。
著者は、公的年金や投資信託、ニューヨーク上場ファンドなど2,000億円超の資産を25年以上運用し、年間約100社を取材してきた日本株のプロフェッショナルです。
派手な投資法ではなく、「長期的に勝ち続けるための考え方」を丁寧に学べる一冊でした。
今回は本書の中でも特に印象に残った、
- 負け癖を克服する5つの鉄則
- 成長株の3ステージ
- 成長株を見極める4つの条件
- 今後注目すべき4つの成長テーマ
についてご紹介します。
負け癖を克服する5つの鉄則
良い損切りを学び、利益は伸ばす
多くの投資家は、利益が出るとすぐ売り、損失が出ると「いつか戻る」と持ち続けてしまいがちです。
しかし著者は、「悪材料が出た銘柄は売る。好材料が出た銘柄は買う。」
という極めてシンプルなルールを徹底していたといいます。
損益ではなく、「良い会社を残し、悪い会社を手放す」
という考え方が重要なのです。例えば、
- 含み損が大きい
- 保有していて精神的につらい
- 20%以上の含み損になっている
このような銘柄は、一度見直してみる価値があるかもしれません。
ポートフォリオの見直しは半年に1回で十分
意外だったのは、「個人投資家なら6か月に1回程度の見直しで十分」という考え方です。
毎日株価を見ていると、短期的な値動きやニュースに振り回され、大きな流れを見失ってしまいます。半年ごとに、
- インデックスに勝った銘柄
- 負けた銘柄
を整理し、負けた理由を考えるだけでも十分だと著者は述べています。
必ず自分で企業を調べる
誰かの推奨銘柄をそのまま買うのではなく、最低でも、
- IR資料
- 決算説明資料
- 事業内容
は自分で確認することが重要です。
「どの事業で利益を稼いでいる会社なのか」
これを理解するだけでも投資判断の精度は大きく変わります。
成長株は3つのステージで考える
著者は成長株を3段階に分類しています。
① 黎明期
- 赤字企業も多い
- PER50~100倍以上も珍しくない
- 将来への期待で買われる段階
この時期はPERだけ見ても、高い・安いを判断することはできません。
② 急成長期
最も株価が伸びやすい時期です。特徴は、
- 売上高が年50~100%成長
- 利益も急拡大
- PER30~50倍程度
株価が何倍にもなる企業は、この段階で生まれることが多いとされています。
③ 成熟期
業績は好調でも、
- 増益率は10%程度
- PER15~20倍程度
まで低下していきます。つまり、PER30倍でも、
- 成長企業なら割安
- 成熟企業なら割高
というケースがあるため、PERは企業の成長段階と合わせて判断することが重要です。
成長株を見抜く4つの条件
著者は成長株を見る際、次の4項目を確認しています。
① 市場が成長しているか
市場そのものが拡大していなければ、大きな成長は期待しにくくなります。
② シェアを取れているか
市場が伸びても競争で負けてしまえば意味がありません。
市場シェアの高さも重要です。
③ 参入障壁が高いか
他社が簡単に真似できない企業ほど利益を維持しやすくなります。
技術力やブランド力などがポイントになります。
④ 利益に変えられるか(マネタイズ力)
人気があるだけでは意味がありません。
きちんと利益を稼げる企業こそ、本物の成長企業です。
NVIDIAを例にすると分かりやすい
本書では、この4条件をNVIDIAを例に解説しています。
- AI市場が急拡大
- GPUで圧倒的なシェア
- 技術力が高く参入障壁も高い
- 利益率が非常に高い
この4つを兼ね備えているからこそ、世界を代表する成長企業になったというわけです。
日本株を見る際にも、この4つのチェックポイントは大いに参考になるでしょう。
少し買って、正しければ買い増す
著者がファンドマネージャー時代に実践していた投資法も印象的でした。
最初から大きく買うのではなく、まずは少額だけ投資します。その後、
- 想定どおりなら買い増す
- ストーリーが崩れたら撤退する
という非常に合理的な方法です。
今後期待される4つの成長テーマ
本書では、2026年以降も注目されるテーマとして4つが紹介されています。
AI
AIはまだ終わっていません。
著者は、
- AIインフラを支える企業
- AIを活用して新しいサービスを生み出す企業
の2段階で考えています。
半導体やデータセンターなどのインフラ企業は大きく成長してきましたが、これから本格的に期待されるのはAIを活用する企業だとしています。
AIエージェント、ロボット、自動運転、建設、農業、コンテンツ産業など、日本企業にも大きな可能性が残されています。
エネルギー革命
AIの普及によって電力需要は急増しています。そこで期待されるのが、
- 地熱発電
- 核融合発電
などです。
ただし、どちらも実用化には時間がかかるため、テーマだけで飛びつくのは危険だと解説されています。
バイオ
注目分野として、
- 遺伝子治療
- 予防医療
- ウイルス治療
- 次世代食品
などが紹介されています。
宇宙開発
宇宙開発では、
- ロケット
- 人工衛星
- 次世代通信
- 防衛
- 宇宙基地
などが期待されています。
日本は欧米を追いかける立場ですが、巻き返しに成功した企業には大きな成長余地があるでしょう。
成長株だけでなく割安株も重要
本書の最後では、割安株投資についても詳しく触れられています。
著者は、日本市場には財務内容が優秀でありながら、株価が割安に放置されている企業がまだ多く存在すると述べています。
特にインフレ局面では、
- 金融
- 資源
- 製造業
が有望な割安セクターとして紹介されています。
つまり、成長株だけに集中するのではなく、割安株も組み合わせて分散投資することが重要という考え方です。
まとめ
本書は「超成長株」というタイトルですが、決して夢物語ではありません。
- 良い損切りを学ぶ
- 成長企業を見極める
- テーマだけで飛びつかない
- 割安株も組み合わせて分散する
といった、長年にわたり2000億円超を運用してきたプロだからこその実践的な考え方が数多く紹介されています。
さらに、実際の企業事例や過去の成長株の分析も豊富で、初心者から経験者まで学びの多い内容でした。
日本株で大きく成長する企業を見つけたい方や、成長株投資を体系的に学びたい方には、ぜひ一度読んでいただきたい一冊です。

