【名著解説】「敗者のゲーム」

本日は敗者のゲームという本をご紹介していきたいと思います。第六版と書いてある通り、非常に長く読み継がれている古典的な名著です。

本質的な内容が書かれていたと思いますし、常に勝とうとすることは無意味であるって書いてあるように、インデックス投資を推奨していて、その理解を深めてくれるような一冊だったのかなと思います。

インデックス投資っていうものを知って、それに興味があるという方にとっては、背中を押してくれるような本かなと思います。

すでに実践しているよという方にとっては、今まで知らなかったメリットをさらに知り、意思をさらに固めてくれる本になるかなと思います。

全米で100万部以上売れ、かつ超ロングセラーということで、とても有名な本です。他の本からも引用されることも多いです。

この本の特徴として、まず個性的なタイトルが挙げられます。まずこの「敗者のゲーム」というタイトルの意味についてご紹介していきたいと思います。

敗者のゲームとは何か

例えば、テニスの試合ですね。プロの試合になると、ミスなんてほとんどしないんですよ。

なら勝敗はどういうところで決まるかっていうと、「目の覚めるような素晴らしいショット」をした方が、プロの試合では勝てます。これがいわゆる勝者のゲームですね。

一方、アマチュアのテニスの試合はどうでしょうか。そもそもラリーをずっとし続けることすら危ういようなアマチュアと考えてください。

こういう人たちの試合の場合は、相手のミスによって得点を得るっていう点の取り方が圧倒的に多いんですよね。なので、ファインプレーの有無とかではなくて、ミスが少ないほうが勝つ。これが「敗者のゲーム」です。

投資っていうのもこの敗者のゲームと同じであって、「ミスを少なくした方が勝つ」っていうゲームなんだっていうのが、この敗者のゲームというタイトルの由来なんですよね。

インデックス投資っていうのは市場平均のリターンを確実に取っていくことじゃないですか。それに対してアクティブファンドをやるとか個別投資やるとかっていうのはそのインデックスのリターンじゃ物足りないから、それ以上を取るためにやるわけです。

ですが!そういった市場平均を上回ろうとするというのは敗者のゲーム、つまり誰かのミスによってでしか勝てない。そういうゲームであると、本書ではいわれています。

例えば車の運転でもそうです。勝者のゲームを目指すのは、法定速度よりもプラス10km/h上回って運転するようなものです。運転はレースではありません。ほどほどのスピードで事故を起こさず、無事に目的地に着くことのほうがよほど大事です。

例えるなら、ほどほどのスピードで無難にちゃんと目的地にたどり着くっていうのがインデックス投資ですね。

速いスピードだと、誰かがミスしたら自動的に勝てるかもしれないけど、自分がミスをする可能性も高まるんですよね。それが市場平均を上回ろうとする投資です。

インデックス投資なら、そんなにタイミングを伺う必要もないし、それだけのコストの低さにもかかわらず、一定の成果を残すことができるので、圧倒的にコスパがいいんですよね。

稲妻が輝く瞬間

本書の中心的な考え方をまとめると、以下になります。

投資家にとっては株式に投資して、長期間そこにとどまっている資金の運用成績が最高である。

長期間そこにとどまっている資金が最高なんです。

なんでそうなるかというと、過去75年間900カ月の超長期で見た場合、上昇してる部分の多くの部分はたったの60カ月間。7%でしかなかったのです。

このほんの一部の上昇期間を逃していたとすると、75年間って言ったら、サラリーマンの現役期間(38年間とする)の2世代分くらいありますから、それぐらいの利益の大部分を失ってしまうということになります。

もっと細かく見ていくと過去72年間のうち、ベストの5日を逃してしまっているだけで、利益が半減してしまってるんですよね。

72年間のうちのたった5日間ですよ!?もうほんの一瞬ですよね。本書ではこれを「稲妻が輝く一瞬」と表現されていて、その瞬間に相場に居合わせておかなければ、そのリターンを享受することができないんです。

タイミングを見計らって、「今が買いだ!」「今は売りだ!」っていうタイミング投資をしていたら、その一瞬の稲妻のリターンをちゃんと享受できるかどうかっていうのは、博打に近いんじゃないかなと思います。

よって、その稲妻が輝く瞬間に、確実に利益を享受するためには、ずっと持ちっぱなしが良いということになるのです。

そしてこの長期間を持っておくっていうのがもう一つのメリットもあります。

それは株式の収益率というのは、長期で見れば平均的な数字に収斂していくということですよね 。

これは株式と債券とキャッシュのインフレ調整付の収益率の変動幅を1年5年平均10年平均から25年平均までまとめたものになっています。

当然短期で見れば見るほど振り幅は大きくなっているのですが、長い目で見れば見るほどだんだん平均的な数値に回帰していくので、長期で株式を持つということがいかに一番良い戦略家というのはこれを見れば分かります。

確かに1年スパンで見ると+50%から-40%くらいまで振り幅は一番大きいです。

だけどそれも20年25年持ち続けるっていう風に考えると、だいたい10%弱ぐらいのリターンに平均的に回帰していくのがほとんどで、似たようなグラフがいろんな本でもあるのですが、このグラフのいいところというのは債券とキャッシュも横並びに並んでいて、比較ができるということなんですよ。

長期スパンで見た場合の債券、キャッシュと比べてみると、圧倒的に株式の方が有利ですよね。

ほぼ確実に増えると言ってもいいぐらいの成績です。

ただし、これの平均をとっていくと、平均9%という言い方にはなるのですが、それだとちょっと誤解を招いてしまうと思います。

これはインフレ調整後の実質の数値なんですがまぁ名目でだした場合過去50年間-43から54の間にあったという言い方の方が正しいということです。

確かに平均9%にはなるけれども、9%のプラスで治った年っていうのは、実際はほとんどないんですよ。

この40%が50%とまでは言わなくとも10%20%くらいのプラスマイナスっていうのを繰り返して、平均すると9%いうだけであって、単年で見ていくと これぐらいの振り幅のどっかとしか言えないんですよねっていう風に考えてたほうがちゃんと短期でのリスクっていうのも認識した考え方が出来るかと思います。

運用機関の変更がリターンを下げる

たまたま投資を始めたタイミングが悪くて向こう1年2年、大きなマイナスが連続で続いたとしましょう。そんなことが起こったらもうやめたくなると思います。でも、そこで簡単に運用機関は変えてはならないんですよね。

そんな時に考えて欲しいのが「エトーレの法則」です。スーパーのレジでも、こちらの方が早そうだと思って列を変えると、その列の進みが思ったより遅く、結局、最初にいた列にいた方が良かったことってありますよね。「下手に動かなきゃ良かった」って後悔するんですよ。これ、「エトーレの法則」という名前がついています。

投資においては運用機関を変えたり、商品を途中で解約して買い直すっていうのは非常に効率が悪いことだと言われています。

直近の成績が良好なマネージャーには新規顧客が集まり、直近の成績が悪いマネージャーからは解約が相次ぎます。つまり多くの人は「最近成績が良いマネージャー」の方へ移動していることになります。

しかし皮肉なことに、新規で採用が増えたマネージャーはその後、解約されたマネージャーよりも成績を落とします。結局は、「何もしない」方が、その後のリターンは高かったのです。とんだ皮肉ですよね。本当にスーパーのレジと全く同じです。

さらにそこには、コストもかかってきます。この本に書いてある通り、投資っていうのは正直言うとマイナスサムゲームなんですよ。

なんでかっていうと、手数料を取る運用機関があるからです。その運用機関がなければ、ゼロサムゲームなんですが手数料というのがかかってくるのでそれを踏まえると全体でマイナスサムゲームになってしまっている。

なのでこういった手数料を無駄に増やさないためにも、最初の何年かが悪かったからといって簡単にそのインデックスファンドを解約しない方がいいということですね。

これも結局最初の言葉に要約されるんですよ。

「長期間そこにとどまっている資金が一番最高である」っていうことですね。

【個人投資家の十戒】

最後にこの本の後半にあった個人投資家の十戒というものをご紹介していきます。

1、貯蓄をしよう

まずは貯蓄による元本を作ろうということですね。

2、相場の先行きにかけてはならない

あくまで相手はプロです。今で言うと市場のほぼ9割ぐらいは機関投資家だったり、仕事で東証している人たちですそういう人たち相手にたまたま1回勝てたとしても、次も勝てるとは限りません。

そう考えるとギャンブルのようなものでもあるので相場での勝負はやめましょうということ。

3、税務上有利という理由で動いてはならない

そういった税務上有利な制度を活用するのはもちろんいいのですが、それが先に来るって言うのはちょっと本末転倒な話ですよね。

4、自分の住宅を資産と考えるな

これはアメリカの本なんですけれども日本でいうとさらに重要ですね 。アメリカよりも日本の方がより住宅の資産価値が残らないというデータが出てますので、まあ少なくとも自分が払った金額ほどあるとは絶対思わない方がいいですね。

日本の大抵の場合は払った金額よりも資産価値が少ないっていう家のほうが ほとんどのはずです。

5、商品取引は考えものである

いわゆるコモディティですね 。

まあそれは投機であると、この本では言っております。そしてそれを売っている業者が一番儲かるということですね

6、証券会社の担当に気をつけろ

確かに彼らの多くは素晴らしい人である。だが彼らの仕事っていうのはあなたを儲けさせることではなくらあなたから儲けることが彼らの仕事なんですよということを認識してくださいということですね。

7、新金融商品には手を出すな

これもあなたにお金を払ってもらうための商品でしかないですよということです。

8、債券は投資してはならない

このスタンスも面白いなと思ったのですが、分散することによってリスクを低減 せたり、ポートホリォの変化変動を落ちついたものにさせてくれるということが書いてあるのですか、この本では債券の弱点についても書いてくれています。

変動リスクは株式と同じようにもちろんあるしかつこれが大事なのがインフレに弱いということですね。

その点株式はインフレには強いですので株式インデックス買っておけば ok だよということです。

もちろんセオリーとして債券を少しポートフォリオ位に入れることによってリスクを低減させるメリットっていうのもわかるので、ある程度年齢がいった方に関しては有効になる場合もあるとは思います。

9、投資計画

投資の目的、方針、計画を書き出して、ちゃんと計画通りに動きましょう。

10、直感を信じるな

有頂天になるような相場の後に大火傷が待っていることもあるし、落ち込んだときは夜明け前は一番暗いんだっていう風に考えることも大事だと、そして色々起こったときに逆にに何もしないということが大事なんだよっていうのが最後の最後にのっておりました。

結局相場がどんな状況になろうともあたふた動かずにインデックス投資を買ったらドンと構えておけばいいということなんですよね。

というわけで結論すごくシンプルなんですよね。

だけどそのシンプルっていうことが非常に大事で、本当に大切な事はいつもシンプルかつ簡単なんだっていうことがあって、ここの例えがすごくわかりやすかったんですが、例えばお医者さんだって「うがい手洗いをしましょう」って言うんでよね。

非常に簡単で誰でもできること。だけどそれをやらない人がいるから、ちょっと風邪ひいたりとかで週末に病院行かなきゃいけないことになってしまう。

歯医医にしてもそうです。歯磨きを毎日丁寧にやりましょうっていう誰でも出来る簡単なこと言うけど、それを怠る人がいるから歯医者が必要です。

勉強にしても計画的にドリルやらワークブックやらやりましょう、とか基本的なことじゃないですか。それと一緒なんです。

投資においても、インディグッズ投資を買って放置しておくって いうのが、大半の人にとって一番有効だし、たくさん勉強する必要もないので一番効率的な運用方法なんですよね。

共通点は何かと言うと、シンプルかつ誰にでも出来る簡単なこと、それが一番大事っていうのがこの本の主張だと思います。

そして昔は勝者のゲーム、つまり今とは違う市場の状況だったというんですけれども、もう今となってはもうこれ以上プレイヤーたちのレベルが下がるということはないし、そう考えるとずっとこの敗者のゲームであり続けると。1960年代、昔のような「勝者のゲーム」の世界に戻るということは絶対ないだろうと言ってます。

なので敗者のゲームと考えて、インデックス投資を買うという戦略がダメになることはないという意味ですね。

実際、インデックス投資を買っている割合ってどんどん増えてるんですよね。

今後さらに市場のお金っていうのがインデックス投資に入っていく割合っていうのは高まると僕は考えております。

そういう意味でも、おそらくほとんどの人にとってはインデックス投資を買うということが、最もシンプルかつ、適切な投資方法になるんじゃないかなと思っております。

以上が本日のご紹介内容とさせていただきます。

今日の内容は、改めてインデックス投資の有効性を確認するような音あったのかなと思っております。