『新・メシの食える経済学~お金に恵まれる人生への手引き』邱永漢さんによる「人生とお金の普遍的な教え」

邱永漢氏による『新・メシの食える経済学 お金に恵まれる人生への手引き』は、単なる投資指南書ではなく、お金にまつわる考え方や人生の知恵を豊かに語る一冊です。本記事では、その内容を掘り下げながら、読者が参考にできるポイントを丁寧に紹介します。

若い時の「ケチ」は愛嬌である

邱永漢氏は「お金を貯める秘訣は簡単。使わなければいい」と語ります。

この一見当たり前のようでいて、実際には実践が難しい考え方に、邱永漢氏の経済哲学が表れています。

収入が増えるにつれて支出も増えるのが現代人の傾向ですが、それに流されず支出を抑える「ケチさ」こそが、将来の資産形成には不可欠です。特に若い時の節約は誰からも理解されやすく、むしろ愛嬌とされます。

ただし、義理や人情を欠くようなケチは人間関係を壊すため、節度が必要です。特に年齢が上がれば上がるほど、人間関係にかかるコストはケチり過ぎたくないものです。

若いうちに投資と失敗を経験せよ

人生におけるリスクとの付き合い方も、若い頃の経験がものを言います。

若いうちに投資や失敗を経験しておくことで、大きな損失を伴わずに貴重な学びを得られます。邱永漢氏も「若い時に遊びや投資に触れておくことで、年をとってからの無謀な道楽や投資の失敗を避けられる」と述べています。これは、感情のコントロールや判断力を養う訓練でもあります。

これは投資にしても同じだと思いました。私自身、大学のゼミがファイナンス専攻で、ゼミ内でバイト代を持ち寄り、先生の口座で個別株を買うという授業がありました。そして社会人になってからも株をしていましたが、当時は数万円の損失でも大いに反省したものです。今思うと安い勉強代でした。

投資の勉強代も、若ければ若いほど安上がりで済む

株式投資は「船」に乗るようなもの

邱永漢氏は株式投資を「船」に例えています。

船が大きいか小さいか、新しいか古いかを見極めることが必要であり、また航行中の波、つまり市場の短期的な変動に惑わされず、潮流という大きな流れを読むことが求められます。精神的な耐性と、長期的な視点があってこそ、投資の成果が見えてくるという教訓です。

株を少しでも保有することで、経済や社会の動きが身近に感じられるというメリットも強調されています。

どんな船に乗るのか、自分の命を預ける船を探すつもりで銘柄を選ぶ

結婚は人生最大の賭けである

邱永漢氏は、結婚を「人生最大の賭け」と捉えています。

特に事業を行っている人にとっては、離婚が事業に影響を与える可能性もあるため、相手選びは慎重にすべきです。

妻に選ぶなら「明るく健康な人」、夫にするなら「勇気と楽天性を持った人」が理想とされます。

著者は「青鬼より赤鬼(怒るが根に持たない人)」を推奨し、日常の中に見られる相手の特性を重視する姿勢が見て取れます。

中金持ちを目指す現実的なアプローチ

お金があれば幸せか?という問いに対し、著者は「大金持ちより中金持ちを目指せ」と説いています。

月に100万円程度「使える」ことが中金持ちの目安であり、収入の多角化や独立自営によって税引き前のお金を自由に使えることが重要とされています。

サラリーマンでも、副業や投資を通じて収入源を複数持つことが現実的な目標となります。

私自身、月に自由なお金で「100万円」はまだ遠いので、まだまだ頑張らなければいけないなと思いましたね。

50歳からでも再出発は可能である

多くの人が「今更遅い」と感じがちな中年期。

しかし邱永漢氏は、40〜50歳こそが気力・体力・人脈・信用のバランスが取れた最適なタイミングだと述べています。

実際、40歳前後での起業やキャリアチェンジは成功率が高いというデータも存在し、決して遅すぎるということはありません。

中高年からの挑戦は十分に可能

人生最後の幸福は「天職」にあり

邱永漢氏は、最終的な幸福は「精神の充足」にあると語ります。

いくら物質的に満たされても、心が満たされなければ人生は豊かにならない。彼自身、最終的には若者支援や教育事業に情熱を傾け、「ライフワーク」として社会貢献を重視しました。

自分にとっての「天職」を見つけることが、人生の最終章をより充実させる鍵となる

まとめ

邱永漢氏の『新・メシの食える経済学』は、表面的なテクニックに終始せず、深い人生哲学と実践的な教えに満ちています。

お金に恵まれる人生を送るには、若いうちの経験、日々の節約、現実的な目標設定、そして最終的な精神的充足が重要です。今の時代にも通じる普遍的な教えとして、多くの人に一読をおすすめしたい一冊です。