『インデックスファンドを推奨する42の理由』を読んで分かった賢い資産形成の極意

インデックスファンドこそ投資家の合理的な選択

インデックスファンドは市場全体を時価総額で保有する仕組みです。

成長企業の比重は自動的に高まり、衰退企業の比重は縮小します。投資家が銘柄を入れ替えなくても、常に“勝ち馬”に多く乗り“負け馬”を減らすポートフォリオが維持されます。

さらに信託報酬が極めて低いので、手数料や税負担による複利の目減りを抑えられます。過去データではアクティブファンドの八割以上が十年後に指数を下回りました。

長期になるほど低コストと自動調整の優位性が複利で拡大するため、インデックス運用を「勝者のゲーム」と呼ぶ所以です。

個別株投資が抱える「当たり外れ」の大きすぎる実態

ラッセル3000構成銘柄を23年間分析すると、中央値リターンは年率5.1%に過ぎず、平均はマイナス1.1%でした。

株価上昇に最も寄与した上位2%の銘柄が指数全体の成績を押し上げていた事実は衝撃的です。

当たり株を事前に見抜く難度は宝くじ並みと言えます。

しかも外れ株は早期に上場廃止となり、指数への悪影響期間が短いため、時価総額加重のインデックスは優秀な銘柄だけを相対的に厚く保有し続けます。

リスクの大きさに見合う超過リターンを得られない個別株集中は、「取る価値のないリスク」と考えられます。

カリスマ運用者でも指数に勝てない長期の壁

過去に11年連続でS&P500を上回った伝説的ファンドでも、その後18年間の年率リターンは4.1%に低迷し、指数を大幅に下回りました。過去の輝かしい実績は将来の保証になりません。

ファンドマネジャーの交代や運用資産の急増で戦略が機能不全に陥るケースも多々あります。

加えて高い運用報酬と販売手数料が複利効果を削ぎ、長期になるほどパフォーマンス格差が拡大します。プロに任せれば安心という直観は、データの前では幻想にすぎません。

高成長国や高配当株に偏る戦略の限界

高成長国の株式だけを集中的に買っても、長期的なリターンは低成長国と大差ありません。

株価には将来の成長期待が織り込まれており、経済成長率と株式リターンの相関は統計的に有意ではないからです。

高配当株戦略についても、配当受取後に再投資するたび源泉税が差し引かれるため、内部留保で利益を再投資する無配当企業と比べて税効率が落ちます。

さらに「配当あり」という条件で銘柄を絞ると分散効果が低下し、ポートフォリオは特定セクターへ偏りがちになります。

心理バイアスが高配当株を魅力的に見せる理由

投資家は含み損を確定させたくない損失回避バイアスを持ちます。

自分で株を売却して現金化する行為は心理的な痛みを伴うため、自動的に配当金を受け取る形を好みがちです。

また、配当後に株価が上昇しても「もっと遅く売れば良かった」と後悔するリスクがない点も心理的負担を減らします。こうした行動経済学的要因が高配当株人気を支えていますが、合理的なリターン最大化とは一致しません。

目的が資産拡大であれば、感情ではなく期待値で判断する必要があります。

まとめ:浮気心を抑え、資産形成の王道を歩む

インデックスファンドは低コストで市場平均を確実に取りに行く戦略です。

個別株やテーマ投資、カリスマファンドへの乗り換えはスリルがありますが、統計的には期待リターンを毀損する可能性が高いと言えます。

感情ではなくデータに基づき、「退屈だけれど強い」インデックス投資を継続することが、長期的に資産を最大化する最速ルートです。

浮気心が芽生えたときこそ本書を読み返し、投資の原点に立ち返ってみてください。