会社員に勇気を与えてくれる『電子版 謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法』

3年で資産20倍?『謎のトレーダー しんの〈株〉バリュー投資法』をご紹介

近年、個人投資家の間で再び注目を集めているバリュー株投資。

かつて、個人投資家の間で話題となった著書『謎のトレーダー しんの株バリュー投資法』が電子版として復刻されました。今回は、この伝説的な書籍の魅力と実践的な内容について、ご紹介します。

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19年前の先駆的バリュー投資書籍が電子復刻

本書は19年前に初版が発行され、当時の個人投資家界隈では高く評価された名著です。

著者のしんさんは、米国の著名投資家ウォーレン・バフェットやベンジャミン・グレアムを師と仰ぎ、日本でバリュー株投資の普及に貢献した先駆者的存在です。

2024年4月に電子書籍として復刻され、再び多くの投資家の注目を集めています。

契約社員から3年で資産20倍の実績

著者しんさんの実体験は、驚くべきものです。

夫婦合わせて年収500万円台という決して高給取りとは言えない状況から、約400万円を元手に投資を再開し、わずか3年で資産をおよそ20倍の8900万円にまで増やしました(驚)。

そしてその背景には、通勤時間を活用した読書と地道な情報収集、そして徹底したバリュー投資の実践があったというので驚きです。

「通勤電車が、書斎」という言葉は非常に印象に残りました。私も移動時間があらばひたすら作業を進めるタイプですので、著者も移動時間で努力していたのだと思うと、共感せざるをえませんでした。

バリュー株投資の基本と解散価値の重視

本書で紹介されている投資スタイルは、企業の解散価値を基準としたバリュー株投資です。

解散価値とは、企業が解散した際に資産から負債を差し引いた実質的な価値を指し、それを発行株式数で割ることで1株あたりの解散価値が算出されます。

著者はこの価値と株価を比較し、安全域を確認するという方法を採用しています。特に、株価が解散価値の3分の2以下であれば割安と判断するグレアム基準を重視しています。

実際にスクリーニングをしてみて見つけた割安銘柄「5280ヨシコン」

本書を読んで、2024年5月時点で、実際にスクリーニングを行い、私が注目した銘柄の一つが、5280ヨシコン(2024年5月現在で株価1600円程度)です。

この企業は静岡を拠点に不動産開発を手がけており、自己資本比率64%、配当利回り3.5%、PBRは0.47と財務内容も優秀です。

時価総額に対する解散価値が1.49倍と、ややグレアム基準には達しないものの、私はそれでも注目に値すると判断しました。実際、2024年5月の決算発表後にはストップ高を記録しています。

(約1年後、2025年7月現在、株価は2200円程度まで上昇していました。これで、だいぶ安全域は修正されたと思います。)

小型株・低流動性銘柄との付き合い方

本書では、ネットネット株のような超割安株の多くが小型株である点も指摘されています。

小型株は流動性が低く、売買が難しい場合もありますが、著者は「待てること」こそが個人投資家の最大の強みと語っています。(ピーター・リンチもそのようなことを言っていましたね。機関投資家は四半期ごとに成績評価をされますから、、、)

実際に流動性が低い銘柄でも、中長期で保有することで十分なリターンが得られた事例が紹介されています。

投資パフォーマンスの正確な計算法

投資家にとって重要なのが、自身のパフォーマンスを正確に把握することです。本書では、特に追加投資があった場合の利回り計算について、丁寧な解説がなされています。

期間を分けて計算し、それぞれの利回りを掛け合わせることで年間パフォーマンスを求める方法が紹介されており、実践的な知識として大変参考になります。

総まとめ:個人投資家向けの腰を据えたバリュー投資を学ぶための良書

『謎のトレーダー しんの株バリュー投資法』は、解散価値を軸とした堅実なバリュー株投資の手法を、実体験を交えて紹介する非常に実用的な一冊です。

著者独自の視点によるアレンジや、売り時の判断、スクリーニング基準なども収録されており、初学者から中級者まで幅広く参考になる内容です。バリュー投資に興味のある方は、ぜひ本書、新装された電子版を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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