『オニールの相場師養成講座』要約|投資初心者が知るべきグロース株投資の極意

『オニールの相場師養成講座』とは?

ウィリアム・J. オニールによる投資指南書

『オニールの相場師養成講座』は、アメリカの著名な投資家ウィリアム・J. オニールによる投資指南書です。オニール氏は、投資家向け新聞「インベスターズ・ビジネス・デイリー(IBD)」の創設者としても知られ、数多くの投資理論を提唱しています。

この書籍では、特にドットコムバブル崩壊後の市場動向や、それにどう対応すべきかについて詳しく解説されています。

ドットコムバブル崩壊後の相場を徹底解説

オニール氏は、2000〜2002年頃のドットコムバブル崩壊後の相場を取り上げ、どのように市場が変動したのかを説明しています。相場が崩壊する中で、多くの投資家が損失を被りましたが、彼の手法を用いればリスクを最小限に抑えることが可能であると説かれています。

CANSLIMによるグロース株投資手法の学び

『オニールの相場師養成講座』の中で、最も注目すべきポイントは「CANSLIM」というグロース株投資手法です。これは、株式の成長要因を見極めるための7つの要素から成り立っています。この手法を学ぶことで、成長株を効率的に見つけることができ、投資家にとって大きな武器となるでしょう。

ステップ1:市場全体の方向性を見極める方法

これは優秀な人ほど陥りがちな罠かもしれません。賢い人ほど、自分自身の意見でなく、市場に従うことが難しいからです。

そして市場は、個人の考えや意見ではなく、群集心理を反映して動いています。

市場は、人間的な感情と個人的な意見にほぼ百パーセント基づいて行動する。たくさんの人たちで構成されている。市場を動かしているのは群衆心理だ。

事実と市場が間違っていることはほとんどない。需要と供給の法則はウォール街の内外のあらゆるアナリストのどんな意見よりも優れているのだ。

株は上昇トレンドで買うべき理由

オニール氏は、株式市場の全体的なトレンドを見極めることの重要性を強調しています。特に、上昇トレンドにある株を購入することが推奨されます。市場全体が上昇傾向にあるときに買い進めることで、利益を最大化することが可能です。

⚫︎株は、下げているときではなく、上げているときに買う。買い増しは、もともとの買値よりも下がったときではなく、買値よりも上がったときにする。

⚫︎株は、下がりに下がって割安に見えるときではなく、年初来の高値近くで買う。安値に沈んでいる株よりも高値に上がっている株を買うのだ。

フォロースルー日と出来高の重要性

フォロースルー日とは、市場が底を打ち反発する初期の段階で確認される日を指します。オニール氏は、このフォロースルー日と出来高(取引量)が市場の回復のサインであると解説しており、これらを見極めることで、タイミングよく投資を行うことができます。

フォロースルーとは

・トレンドが下げから上げに転じたと一般的に確信できるのは、反発が4日続いてから。

・フォロースルーとは、通常、その反発の4〜7日目にやってくる、「確認」となる上昇のこと。10日目や、それ以降にやってくる可能性もある。そこまで遅いと、反発の力強さに欠ける場合が多い。

・前日と、その1日平均よりも多い出来高を伴って、約1.7%以上の決定的な幅で力強く上げる日

ディストリビューションを見極めるポイント

ディストリビューションとは、売り圧力が買い圧力を上回り、株価が下落する状態を指します。オニール氏は、このディストリビューションを見極めることで、相場の転換点を予測し、損失を避けることが可能であると述べています。

ディストリビューションとは

・相場が下落トレンドに変わる転換点。

・ディストリビューションの1日目は、指数の終値が前日よりも低く(マイナス0.2%以上の下落)、出来高が大きい。

・2〜4週間のなかで出来高ディストリビューションが3〜5日(近年は5日)あれば、市場が上昇から下降トレンドに転換したと判断できる。

・ディストリビューション日の出現と、主導銘柄の天井が同時に起こる。

機関投資家たちの大量の売りが隠されている。それを、転換に気づいていない個人投資家が買うという構図になっている。

しかし、このディストリビューションを実際に調べてみた(冒頭のYouTube)結果、かなり頻繁に発生することがわかりました(前日比マイナス0.2%という時点で想像できそうなものですが)。

確かに、ITバブル崩壊、リーマンショック、チャイナショック、コロナショックなどの前に、サインは点灯していました。しかし、コロナラリーのような、その後上昇を見せる前にも、点灯していました。

あくまで、「警戒すべき時!」という程度のアラートに過ぎないのでしょう。

ステップ2:利益と損失を3対1にする方法

利益目標を設定する際のポイント

投資の成功には、利益目標の設定が欠かせません。オニール氏は、許容できる損失額の3倍の利益を目標に設定することを推奨しています。これにより、リスクをコントロールしつつ、長期的に安定した利益を上げることが可能となります。

例えば、損切りラインが7〜8%ならば、利益確定ラインは、20〜25%ということになります。この規律を守っていれば、3回のトレードで1回しか勝てなくても、市場に生き残れます。そして、五分五分に成長すれば、成功を勝ち取れるようになります。

損切りの重要性と、しないことの危険性

投資においては、損切りが不可欠です。オニール氏は、株価が買値から7~8%下落した場合、迷わず損切りを行うべきだと強調しています。損切りをしないことで、さらなる損失を招くリスクが高まり、回復が難しくなる可能性があります。

下落率元に戻るのに必要な上昇率
ー10%+11%
ー20%+25%
ー30%+43%
20%の下落を取り戻すためには、25%の上昇が必要なように、下落を取り戻すには、ただ戻るだけの上昇以上の力強さが必要になる。

株式市場では、大幅な下落が発生した場合、その回復には多大な時間と労力が必要となります。オニール氏は、このような事態を避けるためにも、損切りを行い、リスクを管理することの重要性を説いています。

ステップ3:最適な銘柄を最適なタイミングで買う方法

オニールの銘柄選定といえば、CANSLIMやカップウィズハンドルが有名ですが、同じ部分もありつつ、さらに追加的な条件も含む「12の法則」が書かれています。

直近四半期の利益増加を重視する理由

オニール氏の「12の法則」の中でも、直近四半期の利益増加が特に重要視されています。利益が前年同期より25%以上増加している銘柄は、今後の成長が期待できるため、投資対象として優れています。

業界ナンバーワンとは

できる限り、属する産業や特定の分野におけるナンバーワンを選べと言っています。

しかし、そのナンバーワンとは、知名度や、規模のことではありません。

注意してもらいたいのは、知名度やブランドでナンバーワンという意味ではなく、EPSの伸び率、資本利益率、売上利益率、売り上げの伸び、およびその企業の株価の相対的なパフォーマンスなどの主要な指標に関してナンバーワンということだ。 

各種指標のナンバーワンということですね。そして、ナンバーワンは常に入れ替わるということを肝に銘じておきたいです。

IBD紙の産業グループランキングの重要性

IBD(Investors Business Daily)紙の産業グループランキングは、業界全体の動向を把握するための重要な指標です。オニール氏は、ランキング上位にある銘柄に注目し、投資を検討することを推奨しています。これにより、業界全体の成長に乗ることができます。

ちなみに本書では、IBDのアピール?がすごいです(笑)

オニールにより発刊されたからでしょうね。ちなみに現在はデジタル版が主となっているようです。調べたら月額35ドルくらいするらしいです。今は1ドル150円くらいなので、5000円。。。けっこう高いなと思いました。

注目すべきチャートパターンとその解説

オニール氏が強調するチャートパターンには、カップウィズハンドルや、ソーサー(皿)、ダブルボトム(二重底)などがあります。これらのパターンは、株価の買い時や、底打ちを示すサインであり、これを見極めることで、効果的な投資タイミングを掴むことが可能です。

ステップ4:利益を確定する最適なタイミングで売る方法

株の急騰時に長期保有を検討する理由

株価が急騰した場合、そのまま保有を続けるか、利益を確定するかの判断が求められます。オニール氏は、通常は20%や25%で利益確定しますが、急騰の場合は例外として継続保有をし、さらなる利益を狙うことを提案しています。

クライマックスストップを利用した売却タイミング

クライマックスストップとは、株価が急騰し、天井をつけるサインを示すものです。このタイミングを見極めて売却することで、最大の利益を確保し、リスクを回避することができます。

ステップ5:効果的なポートフォリオ管理の方法

ポートフォリオの管理をガーデニングと表現し、日々のメンテナンスの重要性を説いています。

ダメな銘柄を売却するタイミング

ポートフォリオ管理では、まず最もパフォーマンスの悪い銘柄から売却することが重要です。オニール氏は、損失を最小限に抑えるためにも、この方法を推奨しています。

例えば手持ちの銘柄が、+15%、+7%、トントン、-5%、-10%だったら、-10%の銘柄から売らなければなりません。

これは言うは易し行うは難しだと思いました。一度買った銘柄なら、「なんとか花開くまで」と思ってしまいます。しかし、その時が永遠に来ない銘柄があることも理解する必要があるのですね。

分散投資の必要性と過度な分散が不要な理由

オニール氏は、分散投資は重要であるとしながらも、「幅広い分散化は知識不足に対するヘッジ」と表現します。

保有銘柄数は、10銘柄以下に絞ることを提案しています。これにより、過度なリスクを避けつつ、各銘柄のパフォーマンスをしっかりと監視することが可能となります。そして新しい銘柄が欲しくなった時は、現在のポートフォリオの中で最もいらない銘柄を売るなどのルールは、私も意識したいと思いました。

全資金を一度に投資しないリスク管理

投資資金を一度にすべて投資することは、リスクが高まる行為です。オニール氏は、資金を分割して投資し、様子を見ながら追加購入することで、リスクを分散することを提案しています。

保守的な投資家であれば、初回は半分、2回目以降は初回よりも小さい金額を少しずつ、、、といった具合です。

保守的な人ですら初回に半分というのは、リバモアなどと比べると大きい印象ですね(リバモアは、2:2:2:4の割合で買っていきます)。

まとめ

オニール流投資の初心者向けで読みやすい内容

『オニールの相場師養成講座』は、投資初心者にも分かりやすい内容となっており、専門用語の解説やチャートの例が豊富です。この点で、投資に初めて挑戦する方にとって非常に有用な書籍と言えるでしょう。

『オニールの成長株発掘法』との比較ポイント

『オニールの相場師養成講座』は、オニール氏の別の著書『オニールの成長株発掘法』と比べると、よりコンパクトで読みやすい構成が特徴です。ページ数が少なく価格も安価であるため、まずは基礎を学びたいという投資初心者にとって最適な選択肢となります。

さらに、『オニールの成長株発掘法』がより詳細な理論や高度なテクニカル分析に焦点を当てているのに対し、『オニールの相場師養成講座』は、実際の相場での応用方法に重点を置いています。

したがって、この書籍は、基本的な投資の知識を得たうえで、実践的な投資手法を学びたい方にとって非常に役立つ一冊と言えるでしょう。