『世界一やさしいファンダメンタル株投資バイブル』で学ぶ長期投資の極意

個人投資家であり公認会計士でもある人気YouTuber「ひねけんさん」による著書『世界一優しいファンダメンタル株投資バイブル』は、Amazonレビューで4.9の高評価を誇る一冊です。

タイトル通り、初心者にも非常に分かりやすく解説されており、初学者はもちろん、中級者にとっても新たな発見が多くある内容になっています。本記事では、本書で紹介されている実践的なフレームワークや分析手法の一部をご紹介いたします。

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長期投資の3ステップフレームワーク

本書の中心となるのは、「長期株式投資のための3ステップフレームワーク」です。

まずステップ1では「良い企業かどうか」を見極める手法が詳細に解説されています。

次にステップ2では「その企業の株価が現在割安かどうか」を分析します。

そして最後のステップ3で「ポートフォリオの構築と管理」について触れています。

これらは段階的に学ぶことができ、すぐに実践で活用できる構成になっているのが特長です。

【株価の割安性を見極める4つの手法】

株が割安かどうかを判断するために、本書では以下の4つの評価手法を紹介しています。


重視するものコンセプトメリット注意点
マルチプル法利益、事業利益 × 倍率シンプルだが応用力奥が深く使いこなしに知識と経験
純資産比較法純資産、過去の蓄え時価純資産シンプル 暴落時の味方カタリスト待ちに
配当利回り比較法配当金、配当利回り配当利回り比較シンプル減配リスクの見極め
DCF法将来CF現在価値理論的難解

1つ目は「マルチプル法(PERなど)」で、最もシンプルながら奥が深い手法です。

2つ目は「純資産法」で、特に株価が暴落した際に有効です。

3つ目は「配当利回り比較法」で、インカムゲインを重視する投資家に人気があります。

そして4つ目は「DCF法(割引キャッシュフロー法)」で、理論的だが最も計算が難しい方法です。これらを状況や銘柄の特性に応じて使い分けることが推奨されています。

マルチプル法とEPSの多様性

マルチプル法でPERを使うことは一般的だと思いますが、本書がさらにもう一歩踏み込んでいる一例として、マルチプル法で一株価値を計算する際のEPS(一株当たり利益)の種類を細分化している点です。


長所短所使用に適した企業
実績EPS客観性が高い過去情報成熟して安定した企業
TTM・EPS客観性が高い 情報が新しい過去情報 計算が煩雑ストック型の成長企業
予想EPS将来予測である会社ごとの 精度や傾向異なるディフェンシブな成長企業
10期平均EPS客観性が高い 好不調を均した実力過去情報 計算が煩雑業績が循環的に変動する企業
特別損益修正後 EPS異常値を排除計算が煩雑特別損益が発生したとき

実績EPS、TTM(直近12ヶ月)EPS、予想EPS、10期平均EPS、特別損益修正後EPSなど、複数のバリエーションについて詳しく解説されています。特に景気の影響を受けやすい「シクリカル株」には10期平均EPSが有効であるなど、企業や業種の特性に応じた適切な選択が求められます。

【保有継続か売却かの判断基準】

保有している株式を持ち続けるべきか、売却すべきか悩むことは多いでしょう。本書ではその判断基準として5つのポイントを挙げています。

「割高になった」「より魅力的な企業が登場した」「ポートフォリオの事情」「企業の状況変化」「投資シナリオの崩壊」などがそれに当たります。

【良い企業の見極め:参入障壁の分析】

「良い企業」であるかを判断するために、本書では参入障壁に注目します。

供給面での優位(例:JR東海)、需要面での優位(例:キッコーマン)、ネットワーク効果(例:LINE)の3つの観点から評価する手法が紹介されています。これにより、持続的な競争優位性を持つ企業を見つける助けとなります。

【まとめ:実践的なファンダメンタル分析の教科書】

『世界一優しいファンダメンタル株投資バイブル』は、株式投資において最も重要な「企業の本質的価値」を見極めるための具体的な手法と、実践的なフレームワークが満載です。

著者が公認会計士ということもあり、財務諸表の読み方や分析手法にも信頼性があり、安心して参考にできます。個別株投資に興味のある方、ファンダメンタル分析を深く学びたい方にとって、必携の一冊と言えるでしょう。

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