『投資の4原則──低コストのインデックスファンドが人生100年時代の救世主』

人生100年時代に備える「投資の4原則」|バーンスタインが教える長期投資の本質

長寿社会が現実となった今、「資産をどう守り、育てるか」は誰にとっても重要なテーマです。

本記事では、投資家・医師・歴史家という異色の経歴を持つウィリアム・バーンスタインによる名著『投資の4原則』をもとに、長期投資における普遍的な考え方をご紹介しています。

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投資の基本を支える4つの柱とは?

本書は「投資の4原則」として、以下の4つの柱を軸に構成されています。

  • 金融理論
  • 投資の歴史
  • 投資家心理
  • 資産運用業界の構造

それぞれが独立しながらも有機的に関係し、現代の複雑な投資環境において、正しい判断を下すための“知の骨格”を提供してくれます。

特に本記事では「投資の歴史」に焦点を当て、過去のバブルから何を学ぶべきかを深掘りしていきます。

バブルの正体は“見ればわかる”?

「バブルは数値では定義できないが、社会全体の熱狂から“見ればわかる”」というのが本書の立場です。

なぜなら:過去のバブルは社会現象だった

本書では、チューリップバブル、南海会社、1920年代のアメリカ株バブル、ドットコムバブルなどを例に、「日常会話の中で話題になり、投資家でない人々まで熱狂すること」が共通点として挙げられています。

具体例:こんな行動が現れたとき、バブルかも?

  • 床屋のお父さんが株の話をし始める
  • 芸術家が筆を捨てて株に夢中になる
  • 相場の警告に過剰反応する“信者”が現れる
  • 価格予想が常軌を逸する(例:2017年時点で「数年以内にビットコイン50万ドル」という予想)

これらは、もはや市場の合理性を超えた“群衆心理の暴走”とも言える状態です。

今のAIブームはバブルなのか?

現在、多くの人がAIの話題で盛り上がっていますが、本書で定義される「バブルの4つの特徴」と照らし合わせたとき、著者はこう分析しています。

  • 確かに話題だが、“価格の話”ではなく“実用性”に関心が集中している
  • デイトレに走る人も一部にはいるが、社会現象とまではいかない
  • SNS上で信者的な熱狂は見られるものの、過激な予想や攻撃性は少ない
  • 「NVIDIA株を誰もが買っている」という状況にはなっていない

結論としては、「加熱感はあるが、今はまだバブルとは言えない」と慎重に見ています。

定量分析では見えない「定常性の幻想」とは?

一方で、統計を駆使して投資戦略を組み立てる金融理論にも限界があります。

たとえば、シラーPER(株価収益率)と今後10年の年率リターンには一定の相関が見られるものの、それは“未来永劫通用するルール”ではありません。

本書では「定常性の幻想」として、過去のデータに過剰に依存することの危険性を指摘しています。

後にシラーは実質金利の低下を考慮しCAPEレシオを修正し、新しいモデルを「超過CAPE利回り」と名付けました

LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の例

天才物理学者たちが数理モデルを駆使して運営したLTCMは、ほんの数年で破綻しました。確率上あり得ない出来事が現実になったとき、どんな優れた理論も脆く崩れてしまうのです。

バブルの終わり方と、投資家ができる準備

仮にAIバブル的な過熱相場が今後調整された場合、どれくらいで回復するのかも気になるところです。

本書や過去の市場データから見ると、以下のような傾向が読み取れます。

  • 暴落の下落率:平均で30〜50%
  • 回復に要する期間:1〜3年程度
  • 例外的に早かったのはコロナショック(約半年で回復)

つまり、暴落を予測するのではなく、起こっても「淡々と積み立てる」「キャッシュを一定保有する」などの戦略が有効です。

投資に必要なのは、“知識”ではなく“姿勢”

本書を通じて強調されていたのは、「未来は予測できないが、それを前提として行動すれば失敗しない」という姿勢です。

投資においては「わからないことを前提に、どう対処するか」を学ぶことが重要です。

数字ではなく、“行動”が運用成果を左右するという本質的な教訓が詰まった一冊と言えるでしょう。

おわりに

『投資の4原則』は、初心者から中級者まで幅広く役立つ良書です。特に、今後の相場に不安を感じている方、自分の投資方針を見直したい方には強くおすすめできます。

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