【一流投資家の叡智が詰まった一冊:成功の鍵とは何か】
本記事では、早川書房から刊行された投資関連書籍を紹介します。
30年以上にわたるインタビューを通じて、50名以上の著名投資家の知見を集約した一冊で、投資家としての心構えや手法、哲学まで学べる濃密な内容です。
読後には、投資だけでなく人生観にまで影響を与えるような深い洞察が得られました。
ジャン=マリー・エベヤールの哲学と実績
ジャン=マリー・エベヤールは1960年代のパリでキャリアをスタートした伝説的ファンドマネージャーです。堅実かつ平凡な運用に疑問を抱き、ベンジャミン・グレアムの著作に影響を受けてバリュー投資に目覚めました。
39歳で自身の裁量で運用できる環境を得てからは、18年間市場を上回る成果をあげ、スターファンドマネージャーとしての地位を確立しました。
エベヤールの真骨頂は、1980年代の日本株バブル時に見られます。当時、日本株が世界時価総額の45%を占める異常な状況にありましたが、彼はバリュー投資の原則に則り、安全域のある投資対象がないとして撤退。
結果的にバブル崩壊前に市場から身を引いた慧眼が光ります。
ITバブルとエベヤールの苦悩
しかし、1997年からのITバブル時には、彼のバリュー投資が時代にそぐわないとされ、大きな批判を浴びました。
S&P500やNASDAQの指数が急騰する中、彼のポートフォリオは置き去りにされ、社内外からの信頼も失われました。ついに運用会社は彼のファンドを小さな投資銀行に売却するという選択をしました。
ところが、その直後に起こったITバブル崩壊とともに彼の運用成績は急回復し、2000年にはモーニングスターのファンドマネージャー・オブ・ザ・イヤーに選出されるほどの復活を遂げたのです!
この経験は、短期的な成果に惑わされず、自身の投資哲学を信じ抜くことの重要性を物語っています。
モニッシュ・パブライ:模倣で成功を掴んだ投資家
インド出身の投資家モニッシュ・パブライは、ウォーレン・バフェットの投資哲学を徹底的に模倣し、圧倒的な成果を挙げた人物です。
2000年から2018年の間にS&P500が+159%の成績を記録する中、彼のファンドは+1204%という驚異的なリターンを達成しました。
彼はバフェットのやり方を「クローン」することで、投資における原則的な成功法則を実践しました。
特に、レバレッジの危険性や自身の理解の範囲内での投資の重要性など、グレアム流バリュー投資の基本を再確認するような内容が随所に見られます。
ジョン・テンプルトンの6つの原則
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
この言葉で知られるジョン・テンプルトンは、逆張りを徹底した伝説的バーゲンハンターです。
彼の提唱する6つの原則は以下の通りです:
- 感情をコントロールする
- 自分の無知を認識する
- 広く分散投資する
- 忍耐強くある
- 割安な資産を探す
- 流行を追わない
特に、過去5年間で不調な資産を調べ、その理由が一時的であるならば投資の好機と捉える視点は、一般投資家にも非常に有益です。
結語:成功する投資家たちの共通点とは
本書を通じて浮かび上がる一流投資家の共通点は、「自己の原則を信じ抜く強さ」と「短期的な成果に惑わされない冷静な視点」です。流行や市場のノイズに振り回されず、自らの信念に基づいた行動を貫くことで、長期的なリターンを得ることが可能になるのです。
投資初心者から中上級者まで、あらゆる投資家にとって学びの多い一冊ですので、ぜひ手に取ってみてください。