図解で分かる投資教室https://investudy.jp人生100年時代を投資で豊かにSat, 08 Aug 2026 14:09:32 +0000jahourly1『あぶないオルカン』は、オルカンを全否定している本ではなかったhttps://investudy.jp/risk-all-country/Sun, 09 Aug 2026 00:00:00 +0000https://investudy.jp/?p=1736

『あぶないオルカン』(宝島社新書)を読みました。 オルカンホルダーとして、気になるタイトルでしたので、読んでみました。その結果、私の場合は「オルカンをやめよう」とは思いませんでした。 目次 非表示 「思考停止」で買うのは ... ]]>

『あぶないオルカン』(宝島社新書)を読みました。

オルカンホルダーとして、気になるタイトルでしたので、読んでみました。その結果、私の場合は「オルカンをやめよう」とは思いませんでした。

著:前田昌孝
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「思考停止」で買うのは「あぶない」

全世界株式インデックスは、低コストで世界中に分散でき、制度上の後押しもある。この構造自体を本書は否定していません。いくつかの問題点が挙げられていますが、その一つは、商品選択の意思決定です。

著者の言い方を借りると、こうなります。

「ただ、結果がどうなるかにかかわらず、リスク商品への投資には正しいアプローチで臨みたいものです。まずは投資対象の投信を自らの判断で主体的に選ぶことが出発点ではないかと感じます。」(p.33)

「結果がどうなるかにかかわらず」というのがポイントで、成績の予想合戦をしているわけではない。自分で選んだかどうかを出発点に置いています。

なので、読者によって刺さり方がはっきり分かれると思います。

  • 刺さる人勧められて何となく始めた/中身の構成比を知らない/なぜオルカンなのか説明できない
  • 刺さらない人:他の選択肢と比べたうえでオルカンに決めた人

私自身は後者に近いので、「胸にグサッと刺さった」という読後感ではありませんでした。ただ、自分の判断を一度外から点検するきっかけとしてはありだと思います。

「応援する企業にお金を活用してもらう」という投資観

また本書で個人的に引っかかった(いい意味で)のが、投資をリターンの獲得手段だけで捉えていない点です。オルカンとS&P500インデックスという2本の投信を比べるくだりで、こう書かれています。

「リターンは結果であり、投資とは自分のお金を応援する企業に有効に活用してもらうことだと考えている人にとっては、2つの投信は大違いなのです。」(p.48)

リターンが同じなら中身は何でもいい、とは考えない人は多いと思います。

この整理はわりと本質的だと思います。オルカンを買うということは、実質的に「どの企業にお金を託すかの判断を、全部他人に任せる」ことでもあるからです。

もちろん、これは効率性とはまったく別の軸の話です。合理性だけで考えればインデックスに軍配が上がる場面は多い。ただ、投資を10年20年続ける動機として「応援」がある人も一定数いるのだと思います。

売る側・運用する側の視点

そして、ここは本書の、他の本では指摘されにくい部分だと思います。

オルカンをめぐる話は、普通は投資家目線だけで語られます。信託報酬が安い、分散が効いている、と。

でも本書は、販売会社・受託会社・運用会社という「裏方」の側からも景色を描いています。

「個人マネーがオルカンなど手数料が格段に低いインデックス投信に奪われ、資産運用業界全体の収益が減少し、資産運用立国の担い手がいなくなってしまうリスクも指摘されています。」(p.179)

投資家にとっての善(コストが安い)が、業界にとってはそのまま収益の消失になる。この非対称は、投資家側からはまず見えません。あの低コストは誰の何によって成立しているのか——その裏側が書かれていたのは発見でした。

著者の前田昌孝氏は、日本経済新聞で証券部編集委員などを務め、2022年に独立したベテラン記者です。

市場の制度や業界構造を長年取材してきた人なので、この視点は本書の持ち味の一つだと感じました。

まとめ:誰に勧めるか

タイトルに反して、オルカン積立をやめさせる本ではありません。「あなたはなぜオルカンを選んだのか」を一度言語化させる本です。

私自身の結論は変わりませんでした。コアはオルカン。ただし「思考停止で持っている」わけではない、と自分で説明できるかどうか。そこだけは定期的に確認しておきたいところです。

著:前田昌孝
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『仕事をやめるまでに年間120万円の配当金を手に入れる 最強の株式投資』レビュー|配当株を握り続ける「ゴリラ握力」の身につけ方https://investudy.jp/dividend-taro3/Sun, 26 Jul 2026 13:36:19 +0000https://investudy.jp/?p=1717

高配当株投資で最も難しいことは何でしょうか。 銘柄選びでしょうか。それとも買うタイミングでしょうか。 もちろんそれらも重要ですが、多くの投資家が途中で挫折してしまう最大の理由は、「握り続けること」ではないでしょうか。 今 ... ]]>

高配当株投資で最も難しいことは何でしょうか。

銘柄選びでしょうか。
それとも買うタイミングでしょうか。

もちろんそれらも重要ですが、多くの投資家が途中で挫折してしまう最大の理由は、「握り続けること」ではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、高配当株投資家として人気の配当太郎さんによる3冊目の著書、

『仕事をやめるまでに年間120万円の配当金を手に入れる 最強の株式投資』

です。

本書では、

  • ゴリラ握力という考え方
  • 「含み損は筋肉痛」という印象的な名言
  • KDDIを待機資金として活用する発想
  • 厳選21銘柄

など、配当株を長期保有するための考え方が数多く紹介されています。

この記事では、特に印象に残ったポイントを解説します。

著:配当太郎
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シリーズ3冊目は「メンタル」を鍛える本

シリーズを振り返ると、それぞれ役割が異なります。

1冊目

増配株投資の入門編。

年間100万円の配当金を目指すための基本的な考え方を学べます。

2冊目

より実践的な内容。

シミュレーションや資産形成の考え方などが充実しています。

3冊目(本書)

今回のテーマは、

「握り続けるためのメンタル」

です。

理屈を知っていても、10年、15年と保有し続けることは簡単ではありません。

そのための心理面を補強してくれる一冊という印象でした。

配当金を増やす3つのエンジン

本書で繰り返し登場する考え方がこちらです。

  • 企業による増配
  • 配当金の再投資
  • 自己資金による追加投資

この3つを回し続けることで、配当金は雪だるま式に増えていくという考え方です。

シリーズを通して一貫しており、著者の投資哲学そのものと言えるでしょう。

「ゴリラ握力」が最強の武器

著者は、

買った株を何があっても握り続ける力

を「ゴリラ握力」と呼んでいます。

その握力を支える考え方として、特に印象的だったものを紹介します。

① 含み損は筋肉痛

本書で最も印象に残った言葉です。

しっかり利益を出している企業であれば、一時的な株価下落は、

企業がさらに強くなるための筋肉痛

と考えることができます。

筋トレの翌日に筋肉痛になるように、成長には痛みが伴うという考え方です。

もちろん業績が悪化している企業には当てはまりませんが、優良企業への長期投資では非常に心強い考え方だと感じました。

② 最大資産額は7割で考える

資産額が過去最高を更新すると嬉しくなります。

しかし、その数字は株価次第で簡単に変動します。

そこで著者は、

「資産は評価額の7割くらいで見積もっておく」

という考え方を提案しています。

最初から余裕を持って考えておけば、一時的な下落にも動じにくくなります。

③ 株価は「値札」にすぎない

株価は毎日動きます。

だからこそ、

  • 上がって喜ぶもの
  • 下がって悲しむもの

ではなく、

「買える価格かどうかを判断するための値札」

として考えるべきだと著者は述べています。

この考え方は非常にシンプルですが、長期投資には欠かせない視点だと思いました。

④ 安値覚えの罠を避ける

「昔はもっと安かったのに…」

そう思って買えなくなった経験はありませんか?

本書では、

まず少額でも買って”足跡を残す”

ことを勧めています。

その後は、自分が買った価格を基準に判断することで、投資判断がしやすくなるという考え方です。

⑤ 配当金を生活に置き換える

配当金を、

  • 水道代
  • 電気代
  • 通信費

など生活費に置き換えて考えることで、

配当株を売る心理的ハードルが高くなる

という考え方も紹介されています。

「金のなる木」を育てる感覚に近いのかもしれません。

金利上昇局面は配当株にも追い風

現在のような金利上昇局面では、

  • メガバンク
  • 保険会社

など、金利上昇で利益が増える企業に注目しています。

利益が増えれば増配にも期待できます。

実際、本書の厳選21銘柄でも金融株の比率が高くなっていました。

KDDIを待機資金として使う発想が面白い

本書で最もユニークだったのが、

KDDIを待機資金代わりに保有する

という考え方です。

通常は現金で持っておく資金を、

安定した高配当株であるKDDIに置き換えておく。

そして相場が急落したら、一部を売却して他の銘柄へ投資する。

待っている間も配当金を受け取れるため、現金より効率的という発想です。

成長株投資でMicrosoftを待機資金代わりに使うという考え方にも似ており、非常に興味深い内容でした。

本書で紹介されている厳選21銘柄

本書では、日本を代表する大型優良株21銘柄が紹介されています。

例えば、

  • INPEX
  • 大和ハウス工業
  • 積水ハウス
  • JT
  • ヒューリック
  • ブリヂストン
  • デンソー
  • トヨタ自動車
  • 伊藤忠商事
  • 三菱商事
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 三井住友フィナンシャルグループ
  • オリックス
  • 三菱HCキャピタル
  • 第一生命
  • 東京海上
  • NTT
  • KDDI

などが掲載されています。

第5章では、それぞれの銘柄について着眼点まで詳しく解説されています。

まとめ

本書は、高配当株投資の「理屈」を学ぶ本というより、

実際に長期間保有し続けるためのメンタルを鍛える本

という印象でした。

特に印象に残ったポイントは、

  • ゴリラ握力という考え方
  • 含み損は筋肉痛
  • 資産は7割で考える
  • 株価は値札にすぎない
  • KDDIを待機資金として活用する発想

などです。

高配当株投資を始めたい方はもちろん、すでに投資をしているものの株価の上下で不安になってしまう方にも参考になる一冊でした。

著:配当太郎
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【書評】2000億円を運用した伝説のファンドマネージャーが明かす「超成長株の見つけ方」|5つの鉄則と4つの成長テーマを徹底解説https://investudy.jp/2000-manager/Wed, 22 Jul 2026 15:04:45 +0000https://investudy.jp/?p=1508

「成長株に投資したいけれど、どんな企業を選べばいいのか分からない……。」 そんな悩みを持つ投資家におすすめなのが、楽天証券チーフ・ストラテジストの久田正幸氏による『2000億円を運用した伝説のファンドマネージャーが明かす ... ]]>

「成長株に投資したいけれど、どんな企業を選べばいいのか分からない……。」

そんな悩みを持つ投資家におすすめなのが、楽天証券チーフ・ストラテジストの久田正幸氏による『2000億円を運用した伝説のファンドマネージャーが明かす 超成長株の見つけ方』です。

著者は、公的年金や投資信託、ニューヨーク上場ファンドなど2,000億円超の資産を25年以上運用し、年間約100社を取材してきた日本株のプロフェッショナルです。

派手な投資法ではなく、「長期的に勝ち続けるための考え方」を丁寧に学べる一冊でした。

今回は本書の中でも特に印象に残った、

  • 負け癖を克服する5つの鉄則
  • 成長株の3ステージ
  • 成長株を見極める4つの条件
  • 今後注目すべき4つの成長テーマ

についてご紹介します。

負け癖を克服する5つの鉄則

良い損切りを学び、利益は伸ばす

多くの投資家は、利益が出るとすぐ売り、損失が出ると「いつか戻る」と持ち続けてしまいがちです。

しかし著者は、「悪材料が出た銘柄は売る。好材料が出た銘柄は買う。」

という極めてシンプルなルールを徹底していたといいます。

損益ではなく、「良い会社を残し、悪い会社を手放す」

という考え方が重要なのです。例えば、

  • 含み損が大きい
  • 保有していて精神的につらい
  • 20%以上の含み損になっている

このような銘柄は、一度見直してみる価値があるかもしれません。

ポートフォリオの見直しは半年に1回で十分

意外だったのは、「個人投資家なら6か月に1回程度の見直しで十分」という考え方です。

毎日株価を見ていると、短期的な値動きやニュースに振り回され、大きな流れを見失ってしまいます。半年ごとに、

  • インデックスに勝った銘柄
  • 負けた銘柄

を整理し、負けた理由を考えるだけでも十分だと著者は述べています。

必ず自分で企業を調べる

誰かの推奨銘柄をそのまま買うのではなく、最低でも、

  • IR資料
  • 決算説明資料
  • 事業内容

は自分で確認することが重要です。

「どの事業で利益を稼いでいる会社なのか」

これを理解するだけでも投資判断の精度は大きく変わります。

成長株は3つのステージで考える

著者は成長株を3段階に分類しています。

① 黎明期

  • 赤字企業も多い
  • PER50~100倍以上も珍しくない
  • 将来への期待で買われる段階

この時期はPERだけ見ても、高い・安いを判断することはできません。

② 急成長期

最も株価が伸びやすい時期です。特徴は、

  • 売上高が年50~100%成長
  • 利益も急拡大
  • PER30~50倍程度

株価が何倍にもなる企業は、この段階で生まれることが多いとされています。

③ 成熟期

業績は好調でも、

  • 増益率は10%程度
  • PER15~20倍程度

まで低下していきます。つまり、PER30倍でも、

  • 成長企業なら割安
  • 成熟企業なら割高

というケースがあるため、PERは企業の成長段階と合わせて判断することが重要です。

成長株を見抜く4つの条件

著者は成長株を見る際、次の4項目を確認しています。

① 市場が成長しているか

市場そのものが拡大していなければ、大きな成長は期待しにくくなります。

② シェアを取れているか

市場が伸びても競争で負けてしまえば意味がありません。

市場シェアの高さも重要です。

③ 参入障壁が高いか

他社が簡単に真似できない企業ほど利益を維持しやすくなります。

技術力やブランド力などがポイントになります。

④ 利益に変えられるか(マネタイズ力)

人気があるだけでは意味がありません。

きちんと利益を稼げる企業こそ、本物の成長企業です。

NVIDIAを例にすると分かりやすい

本書では、この4条件をNVIDIAを例に解説しています。

  1. AI市場が急拡大
  2. GPUで圧倒的なシェア
  3. 技術力が高く参入障壁も高い
  4. 利益率が非常に高い

この4つを兼ね備えているからこそ、世界を代表する成長企業になったというわけです。

日本株を見る際にも、この4つのチェックポイントは大いに参考になるでしょう。

少し買って、正しければ買い増す

著者がファンドマネージャー時代に実践していた投資法も印象的でした。

最初から大きく買うのではなく、まずは少額だけ投資します。その後、

  • 想定どおりなら買い増す
  • ストーリーが崩れたら撤退する

という非常に合理的な方法です。

今後期待される4つの成長テーマ

本書では、2026年以降も注目されるテーマとして4つが紹介されています。

AI

AIはまだ終わっていません。

著者は、

  • AIインフラを支える企業
  • AIを活用して新しいサービスを生み出す企業

の2段階で考えています。

半導体やデータセンターなどのインフラ企業は大きく成長してきましたが、これから本格的に期待されるのはAIを活用する企業だとしています。

AIエージェント、ロボット、自動運転、建設、農業、コンテンツ産業など、日本企業にも大きな可能性が残されています。

エネルギー革命

AIの普及によって電力需要は急増しています。そこで期待されるのが、

  • 地熱発電
  • 核融合発電

などです。

ただし、どちらも実用化には時間がかかるため、テーマだけで飛びつくのは危険だと解説されています。

バイオ

注目分野として、

  • 遺伝子治療
  • 予防医療
  • ウイルス治療
  • 次世代食品

などが紹介されています。

宇宙開発

宇宙開発では、

  • ロケット
  • 人工衛星
  • 次世代通信
  • 防衛
  • 宇宙基地

などが期待されています。

日本は欧米を追いかける立場ですが、巻き返しに成功した企業には大きな成長余地があるでしょう。

成長株だけでなく割安株も重要

本書の最後では、割安株投資についても詳しく触れられています。

著者は、日本市場には財務内容が優秀でありながら、株価が割安に放置されている企業がまだ多く存在すると述べています。

特にインフレ局面では、

  • 金融
  • 資源
  • 製造業

が有望な割安セクターとして紹介されています。

つまり、成長株だけに集中するのではなく、割安株も組み合わせて分散投資することが重要という考え方です。

まとめ

本書は「超成長株」というタイトルですが、決して夢物語ではありません。

  • 良い損切りを学ぶ
  • 成長企業を見極める
  • テーマだけで飛びつかない
  • 割安株も組み合わせて分散する

といった、長年にわたり2000億円超を運用してきたプロだからこその実践的な考え方が数多く紹介されています。

さらに、実際の企業事例や過去の成長株の分析も豊富で、初心者から経験者まで学びの多い内容でした。

日本株で大きく成長する企業を見つけたい方や、成長株投資を体系的に学びたい方には、ぜひ一度読んでいただきたい一冊です。

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【書評】『なぜ金融の勝者はいつも同じ顔ぶれなのか』|勝ち続ける投資家に共通する「市場との向き合い方」https://investudy.jp/invest-winner/Tue, 21 Jul 2026 14:55:05 +0000https://investudy.jp/?p=1482

「今年、とある大型銘柄が一時10倍株になった。」 普通に考えれば、多くの投資家が大きな利益を得ていても不思議ではありません。しかし実際には、その途中で退場してしまった人も少なくありません。 その違いは何だったのでしょうか ... ]]>

「今年、とある大型銘柄が一時10倍株になった。」

普通に考えれば、多くの投資家が大きな利益を得ていても不思議ではありません。しかし実際には、その途中で退場してしまった人も少なくありません。

その違いは何だったのでしょうか。

知識でしょうか。情報でしょうか。それとも努力でしょうか。

本書『なぜ金融の勝者はいつも同じ顔ぶれなのか ― 共養としての金融市場』は、その答えを「もっと手前にある投資との向き合い方」に求めています。

銘柄分析やチャートの読み方を学ぶ本ではありません。

市場そのものをどう捉えるべきなのかという、投資哲学を学べる一冊です。

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本書の結論

本書を読み終えて、一番印象に残った結論は次の一文です。

市場は、あなたの理論を尊重してくれない。

勝者と敗者を分けるのは、未来を当てる能力ではありません。

「市場は必ず自分を裏切る」という前提で行動できる人だけが、生き残っていくという考え方です。

理論は信じるものではなく、疑い続けるもの

本書では、ジョージ・ソロスの考え方が紹介されています。

多くの投資家は、

  • この会社は成長する
  • この株価は割安だ
  • この業界は伸びる

という理論を土台に投資します。

もちろん理論を持つこと自体は悪くありません。

しかしソロスは、その理論が正しいかどうかを証明するために投資していたわけではありません。

むしろ、

「この理論が間違っている瞬間はいつ来るのか」

を観察していました。

つまり、

理論は守るものではなく、壊れるタイミングを見張るもの。

という考え方です。

損切りできない本当の理由

多くの人は、

「損切りできない」

と言います。

しかし本書では、

握っているのは株ではなく、自分のストーリーである

と表現されています。

「この会社は正しいはず」

「そのうち市場が自分の正しさに気付く」

そう考えてしまうから損切りができないのです。

損切りは損失を確定するだけではありません。

自分が信じてきた物語を終わらせる行為でもあります。

だから難しいのです。

国家はあなたのためには存在していない

本書では国家についても興味深い考察があります。

国家は国民一人ひとりの利益のために存在するわけではありません。

目的は、

国家そのものを維持すること。

例えばインフレ。

物価が上昇すると、

  • 国の借金の実質負担は軽くなる
  • 一方で現金の価値は目減りする

これは預金者を困らせるためではありません。

金融システム全体を維持した結果として起きる副作用なのです。

新NISAも国家の都合で設計されている

もちろん新NISAは個人にとって非常に有利な制度です。

しかし本質的には、

  • 家計に眠る預金を投資へ向かわせたい
  • 社会保障だけでは老後を支えきれない

という国家側の事情があります。

つまり、

個人に優しい制度であることと、国家戦略であることは両立するということです。

日本人が投資で迷いやすい理由

本書で最も面白かった部分がここです。

著者は、

日本人は知識不足だから迷うのではなく、

文化的背景が金融市場と噛み合っていない

と説明しています。

三方よしは金融市場では通用しない

日本には昔から、

「三方よし」

という商売の考え方があります。

  • 売り手よし
  • 買い手よし
  • 世間よし

地域社会では非常に合理的な考え方です。

しかし金融市場では、

  • 相手の顔は見えない
  • 一度きりの取引
  • 評価は株価だけ

という世界です。

そこでは、

「誠実だったか」

「会社を応援していたか」

は評価されません。

市場が返してくるのは、

利益か損失だけです。

富と人格は切り離すべき

日本には「成金」という言葉があります。

つまり日本では昔から、

お金=人格

という感覚が強い文化です。

そのため、

損失を出すと、

「自分の価値まで下がった」

ように感じてしまいます。

しかし本書では、

ユダヤ・キリスト教圏の考え方として、

富は所有物ではなく、預かり物

という価値観が紹介されています。

だから、

儲かっても偉くなったわけではない。

損しても人間として劣ったわけでもない。

この考え方は投資家にとって非常に実用的です。

市場は空気を読まない

日本社会では、

話し合えば分かる

という文化があります。

しかし金融市場には、

空気を読む主体が存在しません。

「ここまで下がれば止まるだろう」

「誰かが助けてくれるだろう」

そう考える根拠はありません。

市場は、

あなたの期待も、

努力も、

事情も、

一切考慮しません。

3000年前から存在したリスク管理

最後に紹介されるのが旧約聖書のヨセフです。

豊作の7年間に穀物を蓄え、

飢饉の7年間に備えました。

重要なのは、

未来予測が当たったことではありません。

外れても破綻しない設計を作ったこと。

これはまさに、

現代でいうリスクヘッジです。

レイ・ダリオのオールウェザー・ポートフォリオにも通じる考え方と言えるでしょう。

タレブとバフェットも同じことを言っている

ナシーム・タレブは、

未来は予測できない

と語ります。

だから重要なのは、

勝つことではなく、

消えないこと。

ウォーレン・バフェットも、

市場で最後に残る人が勝者になる

という姿勢を貫いています。

IQよりも、

長く生き残ること。

これこそが投資の本質なのです。

まとめ|勝者は未来を当てた人ではない

本書から私が受け取ったメッセージは非常にシンプルでした。

  • 市場は裏切るもの
  • 理論は疑い続けるもの
  • 国家はあなた個人のためには動かない
  • 富と人格は切り離す
  • 一つの未来に賭けない
  • 生き残る設計を最優先する

結局のところ、

金融市場で勝ち続ける人は、

特別な情報を持っている人ではありません。

市場が思い通りにならないことを最初から受け入れ、

その前提でリスク管理を徹底した人だけが、何十年も市場に残り続けます。

だからこそ、

いつの時代も「金融の勝者」は同じ顔ぶれになるのでしょう。

投資テクニックを学ぶ本ではありませんが、投資家として長く生き残るための土台を作ってくれる一冊でした。

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『世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方』書評|面白いけど再現性は人を選ぶhttps://investudy.jp/5-gear/Wed, 15 Jul 2026 09:15:43 +0000https://investudy.jp/?p=1470

献本いただいた『世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方』を読みました。 タイトルだけ見ると、かなり刺激強めです。 「世界の超富裕層」「最初の1億円」「作り方」 ただ、実際に読んでみると、単純に「この投資を買えば ... ]]>

献本いただいた『世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方』を読みました。

タイトルだけ見ると、かなり刺激強めです。

「世界の超富裕層」
「最初の1億円」
「作り方」

ただ、実際に読んでみると、単純に「この投資を買えば儲かります」とか、「誰でもすぐ億れます」というタイプの本ではありませんでした。

本書の中心にあるのは、資産形成を「5段ギア」で考えるという考え方です。

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本書のテーマは「最初の1億円」よりも、人生のギアを上げること

本書では、資産形成のステージを大きく5つのギアに分けて解説しています。

  • 1速:会社の外で最初の1円を稼ぐ
  • 2速:自分の経験や知識を価値に変える
  • 3速:仕組み化して、自分の時間を作る
  • 4速:GIVEによって信用や人脈を積み上げる
  • 5速:資本家として、お金をどう守り、どう使うかを考える

この考え方自体は、かなり面白いと思いました。

よくある資産形成本だと、「節約しましょう」「NISAを使いましょう」「インデックス投資をしましょう」という話が中心になります。

もちろん、それはそれで非常に大事です。

私自身も、NISAやインデックス投資は、多くの人にとって資産形成の土台になると思っています。

ただ、この本はそこからもう一歩進んで、

「給料とNISAだけに頼るのではなく、自分自身の稼ぐ力や、価値を生み出す力をどう高めるか」

という視点で書かれています。

ここは、単なる投資本というより、副業、事業、自己投資、人生設計の本に近い印象でした。

印象に残った点①:会社の外で「最初の1円」を稼ぐこと

特に印象に残ったのは、「会社の外で最初の1円を稼ぐこと」の重要性です。

投資というと、どうしても「どの株を買うか」「どの投信を積み立てるか」という話になりがちです。

もちろん、それも大切です。

ただ、それとは別に、自分の力で価値を生み出し、会社の給料以外で1円を受け取る経験には、たしかに大きな意味があります。

金額の問題ではありません。

「自分でもお金を生み出せるんだ」

という感覚を持てるかどうか。

これは、副業でも、メルカリでも、noteでも、ブログでも、動画編集でも、何でもいいと思います。

最初の1円を稼ぐと、世の中の見え方が少し変わります。

自分の知識や経験も、誰かにとっては価値になるかもしれない。

会社の給料だけが収入源ではないかもしれない。

そう思えるようになるだけでも、かなり大きな変化です。

この部分は、かなり本質的だと感じました。

印象に残った点②:稼げるようになった人ほど、時間貧乏になる

もう一つ面白かったのは、「稼げるようになった人ほど、今度は時間貧乏になる」という話です。

副業や事業で成果が出始めると、収入は増えるかもしれません。

でも、全部を自分でやっていると、結局、自分が止まった瞬間に収入も止まります。

これは会社員とは別の形の労働です。

会社員として忙しいのも大変ですが、個人事業で忙しすぎるのも、また別の大変さがあります。

本書では、そこから抜け出すために、外注化、マニュアル化、AI活用、チーム作り、不動産のキャッシュフローなど、「仕組み化」の重要性が語られています。

ここもかなり現実的な話でした。

私自身もYouTubeをやっているので、この部分はよく分かります。

最初は自分で全部やるしかありません。

企画、リサーチ、台本、収録、編集、サムネ、タイトル、説明欄、コメント対応。

全部自分でやるからこそ、伸びる部分もあります。

ただ、ある程度続けていくと、どこかで「自分にしかできない仕事」と「人に任せられる仕事」を分けないと、成長が止まります。

収入を増やすことと、自由な時間を増やすことは、似ているようで別物です。

この視点は、投資だけでなく、副業や個人事業にもかなり応用できると思いました。

一方で攻めた内容も

一方で、かなり攻めた内容も多いと思います。

本書では、不動産投資、融資、親族からの資金調達、高額コミュニティ、人脈、スモールM&A、エンジェル投資、ゴールド、ビットコイン、ステーブルコインなど、かなり幅広いテーマが扱われています。

著者の実体験としては、たしかに面白いです。

ただし、普通の会社員がそのまま真似できるかというと、かなり人を選ぶと思います。

不動産投資は「不労所得」ではなく事業

本書の中で大きな比重を占めているのが、不動産投資です。

不動産は、うまくいけば強力な資産形成手段になります。

家賃収入がありますし、融資を使えば自己資金以上の規模で投資することもできます。

一方で、空室、修繕、金利上昇、融資の詰まり、売却できないリスクなどもあります。

本書の中でも、不動産は「不労所得」ではなく「事業」だと書かれています。

ここは本当にその通りだと思います。

不動産投資は、寝ているだけでお金が入る魔法ではありません。

物件選び、融資、管理会社、税務、出口戦略まで含めた事業です。

興味を持つのはいいと思いますが、安易に真似できるものではないと感じました。

親族ファイナンスや高額コミュニティは、慎重に考えたい

また、親族から資金を出してもらう話や、高額サービスに参加して人脈を作る話も出てきます。

これも、考え方としては分かります。

自分より上のステージにいる人の時間に、きちんと対価を払う。

良い環境に入るためにお金を使う。

これは、自己投資として意味がある場合もあります。

ただし、ここもかなり慎重に見た方がいいと思います。

親族からお金を出してもらう場合は、失敗した時にお金だけでなく人間関係まで壊れる可能性があります。

高額講座、高額コミュニティ、高額コンサルも、本当に玉石混交です。

「成功者に近づける」

「人脈ができる」

「この環境に入れば人生が変わる」

こういう言葉は魅力的ですが、同時に危うさもあります。

大事なのは、誰が運営しているのか、何を学べるのか、参加者の質はどうか、そして自分はそこで何をGIVEできるのか。

ここを見ずに、ただ高いお金を払えば成功に近づくと考えるのは危険だと思います。

この本は「投資手法を真似する本」ではなく「考え方を拾う本」

なので、この本は「書いてあることをそのまま実践する本」というより、資産形成を一段広い視点で考えるための本として読むのが良いと思いました。

個人的に、この本から拾うべきポイントは、具体的な投資手法そのものよりも、次のような考え方です。

  • 給料だけに依存しないこと
  • 会社の外で1円を稼ぐ経験を持つこと
  • 自分の経験や知識も、誰かにとっては価値になると知ること
  • 稼げるようになったら、次は自分が動かなくても回る仕組みを考えること
  • 人脈とは名刺交換ではなく、信用の積み重ねだと理解すること
  • お金は最終的には「自分がどう生きたいか」「誰を応援したいか」に使うものだと考えること

このあたりは、かなり良いテーマだと思います。

一方で、不動産投資、融資、親族ファイナンス、高額コミュニティ、ビットコインなどの話は、かなり慎重に考えた方がいいと思います。

面白いけど、鵜呑みにせず、自分に必要な部分だけ拾う本

一言でまとめるなら、この本は「最初の1億円を作る裏技本」ではなく、

「給料とNISAだけで終わらず、自分の人生を自分で経営するための考え方を学ぶ本」

だと感じました。

かなり攻めた主張も多いので、鵜呑みにする本ではありません。

ただ、自分の現状を見直すきっかけにはなります。

  • 今の自分は、給料だけに依存していないか
  • 会社の外で1円を稼いだ経験はあるか
  • 自分の知識や経験を、誰かの役に立てられているか
  • 収入は増えても、時間貧乏になっていないか
  • 誰かにGIVEできるものを持っているか
  • お金を増やした先に、何をしたいのか

私の率直な感想は、刺激は受けるが、再現性は人を選ぶということですね。

KADOKAWA
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日経平均7万円はバブルなのか?日本株100年史で読み解く「大天井の3つのサイン」https://investudy.jp/japan-market-100/Wed, 15 Jul 2026 04:53:15 +0000https://investudy.jp/?p=1458

日経平均株価は一時、終値で7万2,800円台の史上最高値を記録しました。 ついに「日経平均7万円時代」に入った――。 そんな声が広がった直後、株価は6万7,000円台まで下落。高値から約7%調整しています。 では、あの7 ... ]]>

日経平均株価は一時、終値で7万2,800円台の史上最高値を記録しました。

ついに「日経平均7万円時代」に入った――。

そんな声が広がった直後、株価は6万7,000円台まで下落。高値から約7%調整しています。

では、あの7万円台はバブルの大天井だったのでしょうか。

それとも、長期的な上昇相場の中で起きる、よくある調整にすぎないのでしょうか。

今回は、山下浩さんの著書『伝説のファンドマネジャーが見た 日本株式投資100年史』を参考に、過去の大天井に共通していた3つのサインから、現在の日本株を考えていきます。

先に私なりの結論を述べると、3つのサインのうち、現時点で明確に点灯しているように見えるのは1つだけです。

少なくとも今の日本株は、1989年のバブル末期と同じ状態ではないと考えています。

著:山下 裕士
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日経平均7万円は「日本株全体の上昇」ではなかった

まず確認しておきたいのが、日経平均が6万円台から7万円台へ上昇したとき、その株高を何が支えていたのかという点です。

この上昇幅の約9割を、わずか10銘柄が生み出していました。

一方、同じ期間の東証上場銘柄を見ると、半数近くの銘柄はむしろ下落していました。

つまり、日経平均7万円は、日本企業全体が一斉に上昇した結果ではありません。

一部の値がさ株、特にAI・半導体関連銘柄への資金集中によって作られた株高だったのです。

その偏りを示す指標の一つが「NT倍率」です。

NT倍率は、日経平均株価をTOPIXで割った数値です。

日経平均への影響が大きい値がさ株やハイテク株が強いと上昇し、市場全体へ幅広く買いが広がると低下する傾向があります。

いわば、現在の株高が「一握りの銘柄によるものなのか」「市場全体の上昇なのか」を測る体温計のような指標です。

現在のNT倍率は17倍前後。

1970年代以降の長期平均は12倍台とされているため、歴史的に見てもかなり高い水準です。

この数字からも、現在の日本株が市場全体の上昇ではなく、一部銘柄への極端な集中によって押し上げられていることが分かります。

『日本株式投資100年史』とは

今回参考にしたのは、『伝説のファンドマネジャーが見た 日本株式投資100年史』です。

著者の山下浩さんは、1960年に証券業界へ入り、その後フィデリティで長くファンドマネジャーを務めた人物です。

本書には、著者自身の経験だけではなく、証券市場を知る多くの年長者から聞き取った、日本株100年分の記録が残されています。

株式市場では、新しい金融商品や新しいテーマが次々と登場します。

しかし、人間の熱狂や恐怖、株価上昇を正当化する理屈は、100年前から大きく変わっていません。

この本の面白さは、過去の相場を単なる昔話ではなく、現在の市場を測る「物差し」として使えるところにあります。

日米で過去3回起きた「スーパーサイクル」

本書では、日本とアメリカで過去に3回、株価の「スーパーサイクル」と呼べる巨大な上昇相場があったと考えています。

その3つは、次の大天井です。

  • 1920年前後の日本株
  • 1929年のアメリカ株
  • 1989年の日本株

これらに共通していたのが、大天井をつけた後の極端な下落です。

戦前の日本株は、1920年の天井から底まで約80%下落。

アメリカ株は、1929年の大天井から世界恐慌を通じて約90%下落。

戦後の日本株も、1989年末の高値から2003年の底まで約80%下落しました。

まさに「山高ければ谷深し」です。

山が高ければ高いほど、その後に待っている谷も深くなる。

100年の相場史を見ても、永遠に上がり続けた市場はありません。

一方で、本書では約10年単位の短いサイクルについても触れられています。

通常の景気循環や金融サイクルに伴う下落は30%前後。

しかし、スーパーサイクルが終わるときには80%前後の下落が起きる。

相場には、比較的浅い谷と、数十年に一度の深い谷が存在するというわけです。

では、現在の日本株はスーパーサイクルの最終局面にいるのでしょうか。

それを考えるうえで、過去の大天井に共通した3つのサインが参考になります。

大天井のサイン1:政策による強い追い風

1つ目は、財政政策や金融政策による強烈な追い風です。

1989年バブルの起点の一つになったのが、1985年のプラザ合意でした。

ドル高を是正するための協調介入によって急速に円高が進み、日本政府は円高不況を避けるため、積極的な財政政策と金融緩和を進めました。

低金利によって市場へ大量の資金が供給され、その資金が株式や不動産へ流れ込みます。

東証一部の時価総額は、1980年の約73兆円から、1985年には約182兆円、1989年には約590兆円まで膨張しました。

現在の日本にも、政策の追い風はあります。

政府は積極的な財政政策を掲げ、成長分野や戦略分野への大規模投資を進めようとしています。

日本銀行は利上げを進めているものの、名目金利から物価上昇率を差し引いた実質金利は、依然として低い状態です。

現金の実質的な価値が目減りしやすい環境では、資金は株式や不動産などの資産へ向かいやすくなります。

したがって、「政策による追い風」という1つ目のサインは、現在も点灯しているように見えます。

ただし、政策の追い風があること自体は悪いことではありません。

このサインがあるだけで、直ちにバブルの天井だと判断することはできません。

問題は、残り2つのサインまで点灯するかどうかです。

大天井のサイン2:株価を測る「物差し」の差し替え

2つ目は、株価を評価する物差しが差し替えられることです。

1960年代から1970年代以前の日本では、配当利回りなどが株価評価の中心でした。

その後、外国人投資家が日本市場へ参入し、PERやPBRといった指標が広く使われるようになります。

PERという新しい物差しが普及すると、日本株の評価水準は次第に切り上がっていきました。

市場全体のPERは、1970年代の約10倍から、1980年には約22倍、1985年には約33倍へ上昇。

そして1989年のバブル最終局面には、東証一部全体のPERが60~70倍に達しました。

一部の成長株ではなく、市場全体が極端に高く評価されていたのです。

そこまで株価が上昇すると、従来のPERでは割高な株価を説明できなくなります。

すると市場では、新しい物差しを使って株価を正当化する動きが始まりました。

その代表例が「Qレシオ」です。

当時は土地価格が上昇し続けるという「土地神話」がありました。

企業が保有する土地の含み益まで考慮すれば、日本企業の株価はまだ割高ではない。

そのような理屈によって、異常に高い株価が正当化されていったのです。

バブル末期には、従来の指標で説明できない株価を、新しい理屈や新しい指標で説明しようとする動きが現れます。

この観点から現在を見ると、日経平均のPERは22倍前後です。

一部のAI・半導体関連株には割高感があるものの、日本市場全体がPER60~70倍に達しているわけではありません。

少なくとも現時点では、従来の指標を捨て、まったく新しい物差しを持ち出さなければ株価を説明できない状態にはなっていません。

したがって、2つ目のサインはまだ点灯していないと考えます。

大天井のサイン3:外国人投資家の売り抜け

3つ目は、外国人投資家が天井の手前で売り抜けることです。

1989年当時、日本株の主な保有者は事業法人と金融機関でした。

株式持ち合いによって、両者を合わせた保有比率は約7割。

個人投資家が約2割を保有し、外国人投資家は4.2%程度の脇役でした。

しかし、外国人投資家の保有比率は、1983年には8.8%まで上昇していました。

それがバブルのピークである1989年末には、ほぼ半分まで低下していたのです。

つまり、外国人投資家は日本中が株高に熱狂する前から、数年かけて静かに日本株を売却していました。

現在の外国人投資家の動きはどうでしょうか。

日経平均が最高値をつけた時期には、外国人投資家は現物株を1兆円以上買い越していました。

その翌週には一転して約1兆2,000億円の売り越しとなり、その後は再び小幅な買い越しへ戻っています。

現状では、買いと売りが交互に出ており、明確な方向感はありません。

1983年から1989年まで何年もかけて保有比率を減らした当時の構造的な撤退とは、まだ状況が異なります。

したがって、3つ目のサインも現時点では本格的に点灯していないと考えます。

ただし、今後も外国人投資家の売買動向は重要な監視項目です。

一時的な売り越しが、長期的な撤退の始まりへ変わる可能性は否定できません。

現在は「1989年型バブル」とは違う

3つのサインを整理すると、次のようになります。

  • 政策による追い風:点灯
  • 物差しの差し替え:未点灯
  • 外国人投資家の売り抜け:未点灯

現在の日本株には、政策と金融環境による追い風があります。

しかし、従来の指標では説明できないほど市場全体が高騰しているわけではありません。

外国人投資家が何年もかけて日本株から撤退している状況も、今のところ確認できません。

AI・半導体関連企業の利益予想も実際に増加しており、株価上昇には一定の業績的な裏付けがあります。

もちろん、一部の銘柄への集中は異常なほど進んでいます。

しかし、この偏りは「バブルが市場全体へ広がった証拠」ではなく、「まだ熱狂が一部の銘柄にとどまっている証拠」と見ることもできます。

1989年には、一部の銘柄ではなく、市場全体がPER60~70倍まで買われました。

割高な株価を正当化するための理屈が次々と登場し、銘柄を問わず無差別に資金が流れ込みました。

現在の日本株は、まだそこまでの状況ではありません。

それでも「今回は違う」には注意したい

現時点では1989年型のバブル末期ではない。

そう考えられる一方で、油断できない言葉があります。

それが「今回は違う」です。

今回は業績が伴っている。

AIは本物だから過去のバブルとは違う。

日本企業は変わったため、従来の評価では測れない。

こうした言葉は、歴史上の大天井付近で繰り返されてきました。

実際に今回は違う部分もあるでしょう。

しかし、「今回は違う」という言葉だけで、どこまでも高い株価を正当化するようになったときには注意が必要です。

大切なのは、今すぐバブルだと決めつけることではありません。

過去の大天井と似たサインが、今後一つずつ増えていかないかを確認し続けることです。

セクターローテーションは健全か、バブル拡大の入口か

現在、一部のAI・半導体株から、銀行、証券、鉄鋼、海運などの出遅れ業種へ資金が移る動きが見られます。

これはセクターローテーションと呼ばれる動きです。

今後、割安だった業種が業績の改善を伴って買われていくのであれば、株高の裾野が健全に広がっていると考えられます。

一方で、業績や企業価値を無視し、理由を後付けしながらあらゆる銘柄が買われ始めた場合は注意が必要です。

それは1989年に見られた、市場全体のバブル的な膨張に近づくサインかもしれません。

現在のセクターローテーションが、景気循環に伴う健全な資金移動なのか。

それとも、熱狂が市場全体へ広がるバブルの入口なのか。

今後の日本株を見るうえで、大きな分岐点になります。

暴落を予想して早く売ることの危険性

過去の大天井を学ぶと、「暴落する前にすべて売った方がいいのではないか」と考えたくなります。

しかし、相場の方向を当てることと、その時期を当てることは別問題です。

本書では、岩本栄之助のエピソードが紹介されています。

岩本栄之助は、現在の大阪市中央公会堂の建設資金を寄付したことでも知られる相場師です。

彼は相場の下落を予想して売り向かいました。

最終的に相場は予想どおり下落しましたが、下落が始まる時期がわずかに遅く、その前に資金が尽きてしまいました。

あと2カ月ほど耐えられていれば、大きな利益を得られた可能性があったといわれます。

方向が合っていても、タイミングが少しずれれば負ける。

暴落を当てにいくことの難しさを象徴する話です。

日本株の暴落は外から突然やってくる

本書では、日本株は海外からのショックに弱いとも指摘されています。

スターリン暴落、ケネディショック、ニクソンショック、オイルショック、リーマンショック。

日本株の大きな下落は、しばしば海外から突然やってきました。

次の暴落を引き起こす原因が何になるのか、事前に正確に予想することは困難です。

原因だけでなく、その時期まで当て続けるのは、プロの投資家でも至難の業です。

だからこそ私は、相場の天井を当てようとはせず、インデックス投資を淡々と積み立てていきます。

ただし、暴落が起こる可能性については、常に覚悟しておく必要があります。

10年に一度は30%程度、場合によっては40~50%の下落が起きるかもしれません。

人生のどこかで、80%級の下落に直面する可能性もゼロではありません。

その可能性をあらかじめ知っていれば、暴落が起きたときに恐怖で投げ売りし、安値で市場から退場することを防ぎやすくなります。

今後チェックしたい3つの変化

今後、日本株を見るときは、次の変化をチェックしていきたいと思います。

1.新しい物差しで割高な株価を正当化し始めていないか

PERやPBRでは説明できないため、「新しい評価方法なら割安だ」という理屈が広がり始めた場合は注意が必要です。

2.外国人投資家が構造的な売り越しへ転じていないか

数週間の売買ではなく、数年かけて保有比率を減らすような動きが出ていないかを確認します。

3.業績を無視した無差別な株高へ変わっていないか

一部の成長株だけでなく、出遅れ銘柄まで理由をこじつけて買われ始めた場合、市場全体のバブルへ近づいている可能性があります。

これは暴落を予言するための指標ではありません。

大天井に近づいている可能性を判断するための、チェックリストです。

目先の値動きではなく、相場の大勢を見る

最後に、本書で紹介されていた本間宗久の言葉が印象に残りました。

「往来相場には手を出すな」

目先の小さな値動きに一喜一憂せず、相場の大きな流れを見るべきだという意味です。

昨日は上がった。

今日は下がった。

外国人が今週は買った。

翌週は売った。

こうした短期的なニュースに反応し続けるよりも、相場全体がどの方向へ向かっているのかを見極めることの方が重要です。

日本株100年の歴史を振り返ると、本当のバブルとは、一部の銘柄が高いだけの状態ではありませんでした。

市場全体が異常な評価まで買われ、従来の指標では説明できなくなり、新しい理屈で株価を正当化し、先に買っていた投資家が静かに売り抜ける。

スーパーサイクルの末期には、そうした複数の症状が同時に現れていました。

現在の日本株には、一部銘柄への極端な集中や政策の追い風があります。

しかし、少なくとも現時点では、1989年型のバブル末期に見られた3つの条件がすべてそろっているわけではありません。

日経平均7万円という数字だけを見て、天井だと決めつける必要はないでしょう。

一方で、「今回は違う」と油断するのも危険です。

目先の値動きに振り回されず、過去の大天井で起きた変化を監視しながら、長期的な投資を続けていく。

それが、100年の相場史から学べる重要な教訓だと思います。

今回紹介した書籍

『伝説のファンドマネジャーが見た 日本株式投資100年史』
著者:山下浩

著:山下 裕士
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本書はすでに刊行から数年が経過していますが、テーマは日本株の100年史です。

そのため、現在読んでも古さを感じにくく、過去の相場で何が起きていたのかを、具体的な企業や投資家のエピソードとともに学べます。

現在の日本株を短期的なニュースだけでなく、長期的な歴史の中で捉えたい方におすすめの一冊です。

※本記事は特定の金融商品や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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『大暴落1929』レビュー|世界恐慌の原因とレバレッジの怖さhttps://investudy.jp/galbraith1929/Sat, 11 Jul 2026 08:39:26 +0000https://investudy.jp/?p=1473

ジョン・ケネス・ガルブレイスの『大暴落1929』は、1929年のウォール街大暴落を扱った投資の古典です。 初版の刊行は1955年ですが、現在でも1929年の世界恐慌や株式バブルを学ぶ代表的な本として読み継がれています。 ... ]]>

ジョン・ケネス・ガルブレイスの『大暴落1929』は、1929年のウォール街大暴落を扱った投資の古典です。

初版の刊行は1955年ですが、現在でも1929年の世界恐慌や株式バブルを学ぶ代表的な本として読み継がれています。

本書が描いているのは、単なる株価暴落の歴史ではありません。

なぜ人々はバブルに熱狂したのか。なぜ警告を無視したのか。そして、信用取引や投資信託のレバレッジが、暴落をどのように増幅したのか。

現代の投資家にも役立つ内容を簡潔に紹介します。

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1929年の大暴落はなぜ起きたのか

1920年代のアメリカでは、経済成長と株価上昇への期待が広がっていました。

株を買えば儲かるという空気が強まり、投資家は企業の利益や株価の割高さよりも、「さらに高く買う人が現れるか」を重視するようになります。

こうした投機熱に、金融緩和や信用取引による資金が加わり、株式バブルが膨らみました。

ガルブレイスは、FRBの金融政策だけを暴落の原因とは考えていません。

金融緩和はバブルを膨らませるガソリンになったとしても、火をつけたのは人々の儲け話を信じたい心理だったと考えます。

フロリダ土地バブルに見る投資家心理

本書は、1929年の株式バブルに先立って発生したフロリダの土地バブルも紹介しています。

「フロリダはアメリカを代表する観光地になる」という期待から土地価格が上昇し、多くの人が転売目的で土地を購入しました。

手付金は価格の1割程度でよく、実質的に大きなレバレッジをかけることもできました。

実際には海岸から遠い土地まで「海沿い」として販売されるなど、問題のある取引も横行しました。

それでも投資家は疑う材料ではなく、値上がりを信じるための理由を探しました。

これは現在のバブルや投資詐欺にも共通する心理です。

当時のハイテク株RCAは98%下落

1920年代を代表する人気株が、ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ、通称RCAでした。

当時のラジオは、人々の生活を変える最先端技術です。現在のAI関連企業に近い期待を集めていたと考えると分かりやすいでしょう。

しかしRCA株は1929年の高値から、1932年までに約98%下落しました。

その後、会社はテレビの実用化などを進め、技術自体は世界を変えていきます。

それでも、高値付近で株を買った投資家が元の価格を回復するまでには、約35年かかったとされています。

ここから分かるのは、次の重要な違いです。

優れた技術や成長企業であることと、その株をどの価格で買っても儲かることは別問題です。

AIが将来世界を変えるとしても、すでに期待が株価へ織り込まれすぎていれば、投資家が利益を得られるとは限りません。

世界恐慌を増幅した投資信託

『大暴落1929』の重要なテーマが、当時急拡大した投資信託です。

ただし、現在NISAで購入されているインデックスファンドとは、仕組みが大きく異なります。

当時の投資信託は、保有する株式の価値よりも高い価格で売買されることがありました。

中身の株式が100ドルの価値しかなくても、投資信託自体は150ドルで取引されるような状態です。

差額の50ドルは、運用する金融の専門家への期待でした。

投資家は「金融のプロなら、一般人が知らない特別な情報を持っている」と考え、純資産を上回る価格でも購入しました。

多重レバレッジの危険性

当時の投資信託は、普通株だけでなく、社債や優先株を発行して資金を集めていました。

借金を使って株式へ投資するため、相場が上昇すれば普通株主の利益は大きくなります。

しかし、相場が下落すると、最初に債権者や優先株主への支払いが優先されます。資産が残っていても、普通株主の価値はゼロになる可能性がありました。

さらに、親会社が子会社へ投資し、子会社が別の投資会社へ投資する多層構造も作られていました。

それぞれの会社がレバレッジを使っていたため、株価上昇時には利益が何倍にも増幅されます。

しかし暴落時には、同じ仕組みが損失を何倍にも膨らませました。

現在でも、信用取引、レバレッジ型ETF、複雑な金融商品を利用するときには、上昇時の利益だけでなく、下落時の損失拡大を考える必要があります。

1929年の暴落は一日で起きたわけではない

1929年の大暴落は、ある日突然すべてが崩れたわけではありません。

ダウ平均は1929年9月3日に最高値をつけましたが、その後も新しい株式や投資商品は発行され続けました。

市場が天井をつけた後も、多くの投資家は上昇相場が続くと考えていたのです。

10月に入ると株価の下落が大きくなり、10月24日の「暗黒の木曜日」、10月29日の「暗黒の火曜日」へと進みます。

追証を支払えない投資家の株が強制的に売却され、信用取引とレバレッジ型の投資信託が暴落を加速させました。

ダウ平均が1929年の高値を回復したのは、約25年後です。

株価暴落が世界恐慌になった5つの原因

ガルブレイスは、株価暴落と世界恐慌は別の現象だと説明しています。

株価暴落は引き金でしたが、恐慌を深刻化させたのは、当時の経済が抱えていた次の5つの弱点です。

1.所得格差

所得上位5%が、個人所得全体の約3分の1を保有していました。

富裕層の投資やぜいたく品への支出は変動が大きく、暴落後に急減しました。

2.企業のレバレッジ

持株会社や投資信託に組み込まれた借金が逆回転し、配当や設備投資が減少しました。

3.銀行制度の弱さ

小規模で脆弱な銀行が多く、一行の破綻が取り付け騒ぎを通じて他行へ広がりました。

4.国際収支の問題

アメリカは債権国でありながら高関税を維持し、海外の債務国が返済資金を稼ぐことを難しくしていました。

5.経済政策の誤り

不況下でも均衡予算や金本位制を重視し、十分な財政支出や景気対策が行われませんでした。

こうした弱点が重なったことで、株価暴落が長期的な世界恐慌へ発展しました。

好況期に不正が増える「ベズル」とは

本書には、ガルブレイスが提唱した「ベズル」という概念が登場します。

好景気の間は、横領、粉飾決算、無理な事業計画などが発覚しにくくなります。

株価や資産価格が上昇し、資金調達も続くため、問題を隠しやすいからです。

しかし相場が下落すると、隠されていた不正や損失が一気に表面化します。

バブル崩壊後に不正が増えるのではありません。

好況期に蓄積していた問題が、暴落によって発見されるのです。

現代の投資家が学ぶべき教訓

1929年と現在では、金融制度や規制が大きく異なります。

預金保険制度があり、中央銀行や政府も金融危機への対応経験を積んでいます。そのため、当時と同じ世界恐慌がそのまま再現されるとは限りません。

それでも、人間の心理には共通点があります。

  • 値上がりしているものに人が集まる
  • 有名人や専門家の名前を信用してしまう
  • 上昇相場ではリスクを軽視する
  • 暴落後に初めてレバレッジの危険性に気づく

投資家ができるのは、暴落の日時を正確に当てることではありません。

重要なのは、予想外の下落が起きても市場から退場しない資産配分と資金管理を行うことです。

まとめ

『大暴落1929』は、1929年の株価暴落と世界恐慌の原因を学べる投資の古典です。

特に重要なのは、投資信託と信用取引によるレバレッジが、相場の上昇だけでなく暴落も増幅した点です。

また、RCAの事例は、将来有望な技術であっても、高すぎる価格で株を買えば長期間報われない可能性を示しています。

市場制度や投資対象は変化しても、儲け話を信じたい人間の心理は変わりません。

未来を当てることよりも、暴落が起きても生き残ること。

これが『大暴落1929』から現代の投資家が学ぶべき、最大の教訓だと思います。

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『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門』|資産形成の先にある「人生の選択肢」https://investudy.jp/fire0709/Thu, 09 Jul 2026 06:19:06 +0000https://investudy.jp/?p=1446

生方正さんの新刊『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門 節約、ポイ活からでも資産1億円を築く方法』を献本いただきました。 本書は、タイトル通り「副業禁止の会社員や公務員でも、節約・支出管理・ポイ活・NISA・株 ... ]]>

生方正さんの新刊『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門 節約、ポイ活からでも資産1億円を築く方法』を献本いただきました。

本書は、タイトル通り「副業禁止の会社員や公務員でも、節約・支出管理・ポイ活・NISA・株式投資・不動産投資・金の活用などを通じて、経済的自由を目指していく」という内容の一冊です。

FIREというと、どうしても「いくら貯めれば会社を辞められるのか」「何%で運用すればいいのか」「資産1億円をどう作るのか」といった話に注目が集まりがちです。

ただ、本書を読んで個人的に印象に残ったのは、FIREを単なる「会社を辞める話」としてではなく、人生の選択肢を増やす話として捉えているところでした。

副業禁止でも資産形成はできるのか

本書の大きなテーマは、タイトルにもある通り「副業禁止の会社員・公務員でもFIREを目指せるのか」という点です。

近年は、副業や個人ビジネスで収入を増やし、その資金を投資に回して資産形成を加速させる人も増えています。

一方で、会社のルールや職業上の制約によって、副業が難しい人も少なくありません。

特に公務員や一部の会社員の場合、「収入を大きく増やす」という選択肢が取りにくいこともあります。

では、そういう人は資産形成を諦めるしかないのか。

もちろん、そんなことはありません。

副業で大きく稼げないとしても、支出を整え、余剰資金を作り、制度を活用し、長期的に投資を続けることで、資産形成の土台を作ることはできます。

本書は、そのための基本的な考え方を整理した入門書だと感じました。

資産形成は、金額ごとに見える景色が変わる

個人的に面白いと思ったのが、資産形成の段階ごとに「見える景色」が変わるという考え方です。

本書では、資産形成の節目として、100万円、500万円、1,000万円といった金額が出てきます。

特に印象に残ったのは、次のような整理です。

  • 100万円は、意識改革の入口。
  • 500万円は、習慣が定着した証。
  • 1,000万円は、資産を増やせる側に回った証明。

この考え方は、かなり共感できました。

100万円を貯めると意識が変わる

自分は何にお金を使っていたのか。

何が浪費だったのか。

どこを削っても生活満足度が落ちないのか。

逆に、何にはお金を使った方がいいのか。

このあたりが、少しずつ見えてきます。

最初の100万円は、金額以上に「自分はお金を残せる」という感覚を作る意味が大きいと思います。

500万円を超えると、習慣が定着してくる

次に500万円を超えてくると、資産形成の習慣がだんだん定着してきます。

  • 毎月の入金。
  • 支出の見直し。
  • NISAや投資の継続。
  • 相場が下がっても慌てすぎない感覚。

こういうものが、少しずつ体に染み込んでくる段階です。

もちろん、500万円でもまだ大きな経済的自由を得られるわけではありません。

しかし、ここまで来ると「一時的な節約」ではなく、「資産形成が生活の一部」になっている可能性が高いです。

この差はかなり大きいと思います。

資産形成で難しいのは、知識そのものよりも、続けることです。

1ヶ月だけ節約する。

1年だけ投資する。

これなら多くの人ができます。

でも、何年も続けるとなると、生活習慣や価値観そのものを変えていく必要があります。

500万円という金額は、その習慣がある程度定着してきた証とも言えるのではないでしょうか。

1,000万円はゴールではなく、再現性が見えてくる節目

そして1,000万円までいくと、「自分は資産を増やせる側に回れたかもしれない」という感覚が出てきます。

もちろん、1,000万円はゴールではありません。

FIREや資産1億円から見れば、まだ通過点です。

ただ、1,000万円まで到達できた人は、収入・支出・投資・継続のどこかに、ある程度の再現性が生まれている可能性が高いです。

  • 毎月いくら入金できるのか。
  • どの程度の支出なら無理なく続けられるのか。
  • 相場が下がったときに、自分はどんな反応をするのか。
  • 生活防衛資金はどれくらい必要なのか。
  • 投資を続けるうえで、自分に合ったリスク量はどれくらいなのか。

こうしたことが、実体験として少しずつ分かってきます。

だから1,000万円は、単なる金額以上に大きな節目なのだと思います。

「1,000万円を超えたら急に人生が変わる」というわけではありません。

ただ、そこまで積み上げた過程で、自分のお金との向き合い方はかなり変わっているはずです。

節約は、何でも我慢することではない

本書を読んでいてもう一つ良いと思ったのは、節約を単なる我慢として捉えていない点です。

資産形成では支出の見直しが重要です。

しかし、何でも削ればいいわけではありません。

無意識の浪費は減らす。

一方で、意味のある支出は残す。

このバランスが大事です。

たとえば、何となく使うカフェ代やコンビニ支出は、積み重なると大きな金額になります。

一方で、人間関係や信頼につながる支出、健康や学びにつながる支出、家族との時間を豊かにする支出は、単なる浪費とは言い切れません。

大事なのは、金額の大小ではなく、

その支出には目的があるのか。
将来の自分に何か返ってくるのか。
本当に生活満足度を高めているのか。

という視点だと思います。

資産形成を長く続けるためには、すべてを我慢するのではなく、自分にとって価値のある支出を見極めることが必要です。

FIREの目的は、会社を辞めることだけではない

FIREという言葉は、どうしても「早く会社を辞める」というイメージで語られがちです。

しかし、本当に大事なのは、会社を辞めることそのものではありません。

自分の人生の選択肢を増やすことです。

  • 働き方を選べる。
  • 住む場所を選べる。
  • 時間の使い方を選べる。
  • 人間関係を選べる。
  • 季節ごとの過ごし方を選べる。

そういう自由度を少しずつ高めていくことが、資産形成の大きな意味だと思います。

本書を読んでいて印象的だったのが、著者の海外拠点に関する話です。

著者はアーリーリタイア後、花粉の季節は海外の別荘に滞在し、それ以外は旅を楽しむ生活をされています。

この発想は面白いと思いました。

海外旅行を「将来の拠点探し」として見る

特に興味深かったのは、海外旅行を単なる観光ではなく、「ここに拠点を持ったら住みやすいか?」という視点でも見ているところです。

  • 物価はどうか。
  • 治安はどうか。
  • 交通は便利か。
  • 医療体制は安心できるか。
  • 現地の人の雰囲気は自分に合うか。
  • 日本から通いやすいか。

こういう視点で海外を見ると、旅行の意味がかなり変わります。

普通の旅行であれば、観光地、食事、ホテル、買い物などが中心になると思います。

もちろん、それも楽しいです。

しかし、「もし自分がここで1ヶ月暮らすならどうか」「将来ここに拠点を持つならどうか」という目線で見ると、街の見え方が変わります。

これは資産形成というより、人生設計の話ですね。

お金を増やすこと自体が目的ではなく、増やしたお金でどんな選択肢を持ちたいのか。

その問いにつながる話だと思います。

海外拠点は魅力的だが、簡単ではない

もちろん、海外不動産や海外生活は、誰にでも簡単におすすめできるものではありません。

税金、法律、管理、為替、言語、医療、治安、現地での人間関係、日本との距離。。。

考えるべきことはたくさんあります。

特に海外不動産の場合、現地の制度や商習慣を理解しないまま手を出すのはリスクがあります。

物件管理や修繕、売却、相続、送金、為替変動など、国内不動産とは違う難しさもあるはずです。

そのため、「海外に拠点を持つ」という考え方自体は面白いものの、実践には相当な調査力と行動力が必要だと思います。

ただ、それでも「資産形成の先に、場所や季節を選べる自由がある」という考え方は、とてもFIREらしい自由の形だと感じました。

副業禁止でも、できることはある

本書は、派手な一発逆転の投資法を知りたい人向けの本ではありません。

短期間で爆益を狙う本でもありません。

  • 無意識の浪費を減らす。
  • 意味のある支出は残す。
  • 余剰資金を作る。
  • 制度を使う。
  • 投資を続ける。
  • 時間を味方につける。

そして、人生の選択肢を少しずつ増やしていく。

この基本を、副業禁止の会社員・公務員でも実践できる形で整理した本だと思います。

資産形成は、特別な才能がある人だけのものではありません。

収入を増やすことが難しい人でも、支出を整え、投資を続け、時間を味方につけることで、少しずつ状況を変えていくことはできます。

もちろん、誰もが簡単にFIREできるわけではありません。

資産1億円も簡単な目標ではありません。

しかし、100万円、500万円、1,000万円と積み上げる過程で、お金への意識や生活の選択肢は確実に変わっていきます。

まとめ:資産形成は、人生の自由度を上げるための手段

今回、本書を読んで改めて感じたのは、資産形成は単に口座残高を増やすためのものではないということです。

お金は目的ではなく、手段です。

  • 何のために節約するのか。
  • 何のために投資するのか。
  • 何のためにFIREを目指すのか。

その先にあるのは、人生の選択肢を増やすことだと思います。

100万円を貯める過程で、お金への意識が変わる。

500万円で、資産形成の習慣が定着する。

1,000万円で、資産を増やせる側に回った感覚が出てくる。

そして、その先に、住む場所、働き方、時間の使い方、季節の過ごし方を選べる自由が少しずつ見えてくる。

本書は、そうした資産形成の基本と、その先にある自由を考えるきっかけになる一冊だと感じました。

副業禁止でも、今の生活の中でできることを確認したい人。

FIREに興味はあるけれど、何から始めればいいか分からない人。

家計管理や投資の基本を改めて整理したい人。

そういう方には、参考になる入門書だと思います。

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レビュー『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』https://investudy.jp/shibaura-ai/Mon, 06 Jul 2026 11:00:00 +0000https://investudy.jp/?p=1429

献本いただいた『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』を読みました。 本書は、これから高配当株投資を始めたい方や、生成AIを投資に活用してみたい方にとって、かなり実践しやすい一冊だと思います。 単に「 ... ]]>

献本いただいた『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』を読みました。

著:シバウラ
¥1,683(2026/08/19 23:08時点 | Amazon調べ)
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本書は、これから高配当株投資を始めたい方や、生成AIを投資に活用してみたい方にとって、かなり実践しやすい一冊だと思います。

単に「高配当株を買いましょう」という内容ではなく、配当利回り、連続増配年数、増配率、配当方針などを確認しながら、根拠を持って銘柄を選ぶ流れが整理されている点です。

高配当株投資では、利回りの高さだけに飛びついてしまうと、減配や株価下落で苦しい思いをすることもあります。

その意味で、本書が重視している

「配当実績から考える」

という視点は、初心者の方にとってかなり大事な考え方だと思いました。

そしてなんといっても本書の特徴は、そこに生成AIを組み合わせている点です。

業界内での立ち位置を調べる、配当方針を確認する、増配実績を整理する、投資判断の壁打ちをするなど、これまで時間がかかっていた調査をAIで効率化する方法が具体的に紹介されています。

プロンプト例も載っているので、

「AIを投資に使ってみたいけど、何を聞けばいいのかわからない」

という方にとって、実践的な内容だと思います。

一方で、すでに株式投資を長くやっている方にとっては、高配当株投資の基本的な部分は、既知の内容も多いかもしれません。

なので個人的には、この本から最も価値を得られるのは、

「株式投資もこれから」

「生成AIもこれから」

という方だと思いました。

ただ、投資経験者にとっても、証券会社のスクリーニングだけでは拾いきれない情報をAIで補完するという視点、実践手順は参考になりますし、それまでの調査では出会えなかった銘柄との新しい発見があるかもしれません。

高配当株投資をこれから始めたい方、AIを投資の調査に活用してみたい方は、手に取ってみても良い一冊だと思います。

著:シバウラ
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投資の教養『バブルの物語』レビュー|なぜ投資家は何度も同じ熱狂を繰り返すのかhttps://investudy.jp/bubble-story/Wed, 24 Jun 2026 08:57:41 +0000https://investudy.jp/?p=1477

ジョン・ケネス・ガルブレイスの『バブルの物語』は、チューリップ・バブルから1929年の世界恐慌、日本のバブル経済まで、金融市場で繰り返されてきた熱狂と崩壊を解説した一冊です。 原題は「A Short History of ... ]]>

ジョン・ケネス・ガルブレイスの『バブルの物語』は、チューリップ・バブルから1929年の世界恐慌、日本のバブル経済まで、金融市場で繰り返されてきた熱狂と崩壊を解説した一冊です。

原題は「A Short History of Financial Euphoria」。直訳すると「金融熱狂の短い歴史」といった意味になります。

ページ数はそれほど多くありませんが、ガルブレイスの鋭い言葉を通して、バブルが発生する本質的な原因を学ぶことができます。

本書の結論は非常にシンプルです。

金融商品や制度が変わっても、バブルを生み出す人間の心理は変わらない。

今回は『バブルの物語』から、現代の投資家にも役立つ5つの教訓を紹介します。

著:ジョン・ケネス・ガルブレイス, 翻訳:鈴木 哲太郎
¥1,485(2026/08/19 23:08時点 | Amazon調べ)
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バブルの原因は人間の本性にある

バブルが崩壊すると、金融政策、金利、規制、金融機関などが原因として挙げられます。

もちろん、それらがバブルを膨らませることはあります。

しかしガルブレイスは、バブルの根本的な原因は市場の外側ではなく、そこに参加する人間の内側にあると考えました。

人間には、値上がりしている資産へ集まり、儲けている人を賢いと信じ、「今回は過去とは違う」と考えてしまう性質があります。

この心理が変わらない限り、バブルは対象を変えながら何度でも繰り返されます。

1.金融の記憶は約20年で失われる

ガルブレイスは、金融に関する記憶は極端に短いと指摘しています。

大きな暴落が起きても、その記憶はやがて薄れていきます。

暴落を経験した世代が市場の第一線から退き、過去の損失を知らない新しい世代が投資を始めるからです。

およそ20年ほど経過すると、過去と似た投資ブームが「新しい金融革命」として登場します。

2000年前後のITバブルを実際に経験していない投資家にとって、現在のAIブームや半導体ブームは、過去の繰り返しではなく、まったく新しい出来事に見えるかもしれません。

しかし、技術や銘柄が変わっても、期待が価格を押し上げる構造は共通しています。

2.人は富と知性を取り違える

相場の上昇によって大きな資産を築いた人を見ると、私たちはその人物を「投資の天才」だと考えがちです。

資産が多いのは、頭がよく、未来を見通す能力があるからだと信じてしまいます。

しかし、その利益が本人の実力によるものなのか、単に上昇相場へ乗った結果なのかは、相場が反転するまで分かりません。

バブルの最中には、儲けた金額そのものが発言の正しさを証明する材料になります。

大きな含み益を持つ人の発言には注目が集まり、慎重な意見は無視されます。

ところが相場が崩れると、それまで天才と呼ばれていた投資家の資産が急速に失われることがあります。

資産額の大きさと、投資判断の正しさを同じものとして考えないことが重要です。

3.金融の新発明は、レバレッジの再発見である

金融市場では、新しい金融商品や投資手法が次々と登場します。

しかしガルブレイスは、金融の世界で画期的とされる発明の多くは、従来の仕組みを少し変えただけだと指摘します。

その中心にあるのが、借金を利用して投資額を増やすレバレッジです。

レバレッジを使えば、資産価格が上昇したときの利益を大きくできます。

一方で、相場が下落すれば、損失も同じように拡大します。

1720年のイギリスで起きた南海バブルでは、南海会社の株価が半年ほどで約8倍に上昇しました。

その背景にも、借金や信用を利用して株を購入する仕組みがありました。

現代でも、信用取引、レバレッジ型ETF、オプション取引、企業の借入金など、さまざまな形でレバレッジが使われています。

名称や仕組みが新しく見えても、上昇時の利益と下落時の損失を増幅する性質は変わりません。

4.価格上昇が新たな価格上昇を生む

バブルには、価格上昇が買い手を呼び、その買い手がさらに価格を上昇させる自己強化の仕組みがあります。

最初は企業の成長や技術革新といった理由で株価が上がります。

しかし上昇が続くと、次第に「上がっているから買う」という投資家が増えていきます。

新しい買い手が入ることで株価は本当に上昇し、その上昇がさらに多くの投資家を呼び込みます。

現在では、SNSで急騰銘柄や大きな利益が拡散されるため、この自己強化が短期間で進みやすくなっています。

周囲が簡単に儲けているように見えると、「自分だけ取り残されたくない」というFOMOが生まれます。

企業価値を調べて買うのではなく、上昇しているという事実だけを理由に飛びつく人が増えたとき、相場は危険な段階に近づいている可能性があります。

5.バブルを疑う人は嫌われる

相場が上昇しているとき、慎重な意見は歓迎されません。

「この株価は高すぎるのではないか」「バブルの可能性がある」と発言すると、時代遅れ、勉強不足、上昇相場に乗れなかった負け惜しみだと批判されます。

1920年代、著名な銀行家ポール・ウォーバーグが株式市場の過熱に警告を発すると、それまで尊敬されていた人物でありながら、激しい非難を浴びました。

アメリカの繁栄に水を差しているとまで批判されたといいます。

熱狂が強くなるほど、強気な人が正しく、慎重な人が間違っているように扱われます。

その結果、専門家や経営者も警告を発しにくくなり、市場から慎重な意見が消えていきます。

誰もが同じ方向を向き、反対意見が嘲笑される状態は、バブルを見分ける一つの材料になります。

バブル崩壊後には犯人探しが始まる

バブルが崩壊すると、投資家は損失の原因を探します。

中央銀行が利上げしたから、政府が規制を強化したから、景気が悪化したからと、外部に原因を求めます。

しかしガルブレイスは、投機に参加した市場参加者自身の熱狂が原因として語られることは少ないと指摘します。

人々は、市場は本質的に正しいと信じています。

そのため、市場そのものが集団心理によって暴走したという事実を認めたがりません。

市場を無罪にするために、中央銀行、政府、金融機関など、別の犯人が必要になるのです。

自分たちが価格上昇を信じ、熱狂に参加した事実から目をそらすため、次の世代も同じ失敗を繰り返します。

AIブームはバブルなのか?

AIが社会や産業を大きく変える可能性は十分にあります。

しかし、技術が本物であることと、その関連株の価格が適正であることは別問題です。

過去のITバブルでも、インターネットが世界を変えるという予想自体は正しかったといえます。

それでも、多くのインターネット関連株は過大な期待によって買われ、バブル崩壊後に大きく下落しました。

現在のAI市場を見るときも、次の点を確認する必要があります。

  • 過去のバブルの記憶が薄れていないか
  • 成功した投資家や経営者を過度に神格化していないか
  • 借入金や信用取引によるレバレッジが増えていないか
  • 株価上昇そのものが新しい買いを呼んでいないか
  • 慎重な意見が嘲笑される空気になっていないか

ただし、これらの条件に当てはまるからといって、すぐに暴落するわけではありません。

バブルは、割高だと指摘されてから何年も上昇を続けることがあります。

ガルブレイスも、バブルがいつ崩壊するかを予測できるとは述べていません。

『バブルの物語』から学べる投資の教訓

本書には、暴落の時期を当てる方法や、必ず儲かる投資手法は書かれていません。

ガルブレイスが求めているのは、自分自身の中に懐疑心を持つことです。

市場が上昇しているからといって、すべてを売却する必要はありません。

しかし、周囲の利益を見て急に投資額を増やしたり、借金をしてまで人気資産へ集中投資したりする前には、一度立ち止まる必要があります。

特に注意したいのは、次のような状況です。

  • 誰もが絶対に値上がりすると考えている
  • 投資家の成功体験と自信が急速に膨らんでいる
  • 借金やレバレッジを使った投資が増えている
  • 慎重な意見を口にしにくい空気がある

バブルを完全に避けることは難しくても、その熱狂に飲み込まれないようにすることはできます。

まとめ

『バブルの物語』は、金融市場で熱狂と暴落が繰り返される理由を、人間心理の視点から解説した投資の古典です。

本書から学べる重要なポイントは、次の5つです。

  1. 金融の記憶は短く、過去の失敗は忘れられる
  2. 人は富と知性を取り違える
  3. 金融の新発明の多くはレバレッジの再発見である
  4. 価格上昇が新しい買い手を呼ぶ
  5. バブルを疑う人は嫌われる

バブルの対象は、チューリップ、土地、鉄道、インターネット、住宅、AIと変化してきました。

しかし、それを買う人間の心理は、数百年前からほとんど変わっていません。

誰もが上昇を確信しているときほど、一度立ち止まって考える。

それが『バブルの物語』から現代の投資家が学ぶべき、最も重要な教訓だと思います。

著:ジョン・ケネス・ガルブレイス, 翻訳:鈴木 哲太郎
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